81.後処理3
彼のまさかの行動に私も反射的に武器を構えた。
「……何の真似ですか」
そう尋ねるとジェイドさん達の緊張した空気が伝わってきたがメアリーさんが恐る恐るこんなことを聞いてきた。
「も、もしかしてレーナさんですか?」
どうしてそんな当たり前なことを聞いてきたのだろう? と少し困惑しながら返事をした。
「そうよ」
すると先ほどの張り詰めた空気が霧散して、ジェイドさんとメアリーさんは武器を下ろした。
「ランデルお前も武器を収めろ」
そう言われたランデルは渋々武器を収めていた。彼等の様子に困惑しながらもどうして私に武器を向けてきたのかを聞いてみることにした。
「どうして私に武器を向けてきたのですか?」
「それは、悪かった。人の気配がなかったのにいきなり声を掛けられて反射的に武器を構えただけだ」
するとジェイドさんが頭を下げながらそんなことを言ってきた。
「? 普通にここまで走ってきましたが?」
「……そうなのか? 全く音がしなかったが」
「私も分かりませんでした」
そう言ってジェイドさん達は困惑していたが、私が移動する際そんなに音が出ていないのだろうか? と思った。
(あ、でも、ゴブリンの集落を偵察したときは気付かれずにやり過ごしたり、移動ができたりしていたから無意識に足音をなくすようしていたかも。でも、ジェイドさん達も気付かないほどだったのかな?)
「それで、レーナさんは1人なの?」
「あ、そう言えば、手伝って欲しいことがあって呼びにきました。来ていただけますか?」
「分かったわ」
「わかった」
と言ってくれたので彼等を連れてユミルさん達が待っている場所へと移動をしたのだった。




