75.作戦実行
それから少し歩いて、ユミルさんと別れた場所と先ほどの分岐の中間辺り? と思われると場所で立ち止まった。
「ここまでくればある程度は大丈夫だと思うけど、少しは落ち着いた?」
「うん。さっきよりは大丈夫かな?」
「……これから、ユミルさん達と合流しようと思っているけど大丈夫?」
「が、頑張ってみるよ」
「……今度は盗賊が襲い掛かってくるわよ? 躊躇うことなく攻撃できる?」
「そ、それは……」
と言ってユアは悩んでいる様子だった。
「ユアは、何に悩んでいるの?」
「そ、それは……。本当に殺さないといけないのかな? って……」
「今回はそうしないといけないけど、それ以外はユア自身が決めることよ。でも、これだけは理解しておいて、見逃したらまた襲ってくるということを」
「え? また襲ってくるの?」
するとユアは驚いて聞き返してきた。
「盗賊なんかやっている人は見逃したら他の人を襲うだけよ。人殺しまでやっているのなら尚更ね? そんな人を野放しにしたら、今度はユアじゃなくて、ルミアやララ、リリが襲われる可能性があるのよ? そんなことになったら嫌でしょ?」
「うん」
「そんなことを起こさないためにしっかりと止めを刺しているわけ。もちろん、今回の依頼じゃなかったら、捕まえて、売ったりもできると思うけど、そんな手間をかけるくらいならその場で始末した方が楽だわ。まぁ、その辺りはどう思うかはユア次第だけど……」
「……それなら今度の時は捕まえても?」
「まぁ、ユアがそうしたかったらそうすればいいけど、わざわざ街まで連れて行かないといけないのよ? 場所によっては遠くて大変だし、ちゃんと連れて行けるのかも分からないからね」
「そ、そっか……」
「とりあえず、相手が私達を殺しに来ていたら躊躇することなく必ず息の根を止めるのよ? そうしないと私達が怪我をするからね」
「分かったの」
「よし。じゃあ、これからユミルさん達のお手伝いをしに行くわよ? 敵の動きに気を付けながら躊躇いなくやるのよ?」
「うん」
それから私達はユミルさん達と合流するためなるべく音を立てずに先へと急いだ。




