93.前準備
それからしばらくしてユアは、落ち着いたのだが今度は、顔中に汗を掻いていた。どうしたのかな?と思ったけど先程抱きついて来たとき両手で結構しっかりと抱きつかれていたことに気が付いた。
「もしかして治療していない方の腕が痛いの?」
そう聞くとユアが頷いた。さっきは、感情が高ぶっていて分からなかったのかもしれないけど落ち着いたことによって痛みを感じたみたい。それで変な汗を掻いていたみたい。
「先に治療をしようか?今回は、服を着たままやるからそのまま横になって?」
そう言うとユアは、横になって恐る恐る左手を地面に置いたので早速始める。昨日行ったように魔力消費を抑えらるように頑張っていたが昨日よりも多くの魔力が消費された。なんかこう抵抗を感じて多くの魔力を使ったように感じた。多分だけど服越しに治癒魔法を行使したからかもしれないが……。今度そういったことを試す機会があれば分かると思う。まぁ、そんな機会は、ない方がいいけど……。
「とりあえず終わったよ。とりあえずタオルで汗を拭いて?」
「あ、ありがとう」
そう言ってユアは、汗を拭きながら左腕の動きを確認していた。
「それにしても凄いよね。レーナちゃんの治癒魔法。怪我する前のように動くから」
「そうかな?ちゃんと動くならいいけど細かい動きとか戦闘が上手くできるのかは、試してみないと分からないと思うけど?」
「そうかもしれないけど多分大丈夫だと思うよ?」
「そうだといいね……。このあと移動するから朝食の準備をするね?」
「うん。何か手伝うことある?」
「干し肉を茹でるだけだから大丈夫だよ」
と言って鍋を出す。そこに取り出した干し肉一個分を薄めに切って入れて煮込む。干し肉が柔らかくなったら塩で味を調えてからカップに入れてフォークと一緒にユアに渡す。
「ありがとう」
それから自分の分も同じように入れて食べる。まぁ、干し肉をただ煮ただけなので普通においしい。
「おいしいし、温まる」
そう言いながらユアは、食べていた。それから食べ終えると先程干していた物が乾いていることを確認する。まぁ、風魔法で乾かしていたので問題なく乾いていた。
「ユアのものも乾いているけどどうする?」
「ズボンは、穿いて行こうかな?それとスカートと下着は……どうした方がいいかな?」
とユアは、少し顔を赤らめながらそんなことを聞いて来た。確かに貸したものをわざわざ今返してもらうのもなぁ……。いっそのことそのままあげればいいかも?ユアが受け取ってくれるかは、分からないけど……。とそんなことを思って聞いてみた。
「貸したものあげるからそのままでいいんじゃない?」
「……いいの?」
「まぁ、他にもあるから問題ないよ。いらないなら後で返してくれればいいよ?」
「ちゃ、ちゃんと大切に使います」
「そう。……じゃあ、ユアがズボンを穿いてからこの後どうするのか話そうか?」
「うん。ちょっと待ってね」
そう言ってユアがズボンを穿き終えたのでどう行動するかの話を始めることにした。




