60.休息2
「……ランデルに干し肉を売っていたが他にも食料を持っていたのか」
「え? あぁ、そうですね。あれは予想外の収入になりました。まさか本当に払うと思っていたなかったので……」
まぁ、吹っ掛けたのは私だけど、ランデルにそれを払うだけの財力があることにあの時は驚いた。でも、ランデルの装備などはそれなりに高そうなものが多いからお金はあるのかもしれないが、一体に何で稼いでいるのだろう? と思った。
「あまり、実力がありそうには見えないけど、お金には困ってなさそうだったよなぁ……」
「彼は傲慢だがしっかりと戦える」
するとジェイドさんがランデルを擁護するような発言をしたので驚いた。
「それは、昇格試験を受けられるだけの実力があるので戦えるとは思いますよ? すごく視野が狭そうですけど……」
「……何気によく見ているな」
「? どういうことですか?」
「いや、他意はない。ただ、いろいろあった割には彼のことを見ているのだと思っただけだ」
「それは、戦うのなら当たり前では? まぁ、戦う前からある程度予想はできていましたが……」
「……それもそうだな」
とジェイドさんとそんな会話をしていた。ほとんど当たり障りない内容だったけど、無口そうなジェイドさんが思いの外話してくれたことに少し驚いていた。まぁ、無口そうなのは私の勝手な想像だから本来のジェイドさんはそこまで無口じゃないのかもしれない。そんなことを思っているとユアが起きてきた。
ユアには先ほどジェイドさんから聞いたお願いを伝えると慌てた様子で気にしないでくださいと言ったので、ジェイドさんは隅の方で寝ることになった。その際、「俺が寝ていても気にせず普段通りに見張りをしていてくれ」と言われた。恐らく、ジェイドさんがこの場所で寝ることで会話を遠慮するかもしれないと思って配慮してくれたのかもしれないが、私達もできる限りジェイドさんに配慮してお話をしようと思った。
それから少しして、交代の時間になり、ジェイドさんは寝る準備をすると横になったのだった。




