57.話し合い6
拠点に戻ると、ユミルさんが先ほどの話をみんなにした。まぁ、皆と言ってもメアリーさんとランデルの同意だけなのだが……。
「……というわけで今から拠点の移動をしたいと思います」
「分かったわ」
するとメアリーさんはすんなりと了承してくれた。
「ありがとう。ランデルさんは大丈夫ですか?」
「暗いから明日でもいいだろ」
とやや不機嫌そうにそう言った。まぁ、確かにそうなのかもしれないけど、後々のことを考えると早めに行動をしておいた方がいいと思う。でも、ランデルが頷くとは思えないよなぁ……。
「それなら、ランデルさんは明日移動をすればいい」
するとジェイドさんがそんなことを言った。
「それでいいのなら俺は構わない」
「そうか、だが、危険もあるということは理解しておけ」
「……分かった。とりあえず、場所だけは教えてくれ、体調が落ち着いたら移動する」
とランデルはすんなりとジェイドさんの言うことを聞いた。そのことに驚いていた。私達だったが、メアリーさんだけ納得した様子だった。もしかして、私達が偵察している間に何かあったのかな? とそんなことを思いながら、私達は移動の準備をしてから先ほどの場所へと戻るのだった。
そうして、拠点にしようとした場所へと戻ると早速、準備に取り掛かった。まずは私のシートを回収して、ジェイドさんから借りた大きいシートを先程と同じように取り付けてその横に馬車を止めた。
それからはユミルさんの指示の元、雪が溜まっている場所から雪をかき集めて馬車だと認識しにくくするために雪を付けて行く。私はというと、シートの周りを一部を除いてある程度囲うように雪を集めては壁のように作っていた。するとジェイドさんが私に気付いて手伝ってくれたので、大体同じようなタイミングで完成した。多分、なんとなく擬態させることが出来たと思う。




