56.話し合い5
そして、私が言った付近に到着すると馬車が通れそうなくらい空いた場所があったのでそこを進むと崖に近い場所が見えてきた。。
「……思っていたよりも急かも」
と言いながらその場所に着くと登れなくはないけど傾斜は70度近くはありそうだった。
「なかなか急な山ね」
「そうですね……」
「それでどうやるの?」
「とりあえず、試しにやってみますね」
と言って私はテントのシートを取り出して、木の位置に気を付けながらある程度登ったところに杭を打ち込んで行く。2つ打ち込み終わると、下りて、近くの木にシートを固定した。するとあまり広くはないけど少し数メートルほどの空間ができた。
「とりあえず、こんな感じで作ってシートに軽く雪を乗せたりして周囲の風景になじませることである程度は誤魔化せるかと。ただ、強度面がやや不安なのでその辺りはもう少し考えた方がいいかもしれませんが……」
「すごく良さそうなに駄目なの?」
「雪が降り過ぎると重みで落ちてくる可能性が……。もっと大きければ、もう少し高い場所に打ち付けて、斜めに設置すると雪が流れて潰れにくくなると思いますが……」
「それなら、俺のテントのシートを使うか?」
するとジェイドさんがそんなことを言ってきた。
「え? でも、ジェイドさんの寝る場所は……」
「盗賊の討伐までなら寝なくても問題ない」
「……それって大丈夫ですか?」
「数日なら問題なく動ける」
それってかなりすごいのでは? と思ったが、そこであることに気付いた。私は馬車で寝ているからジェイドさんにテントを貸せば問題ないのでは? と……。
「それなら私のテントを使ってください。私は馬車で寝ているのでテントは使わなくても問題はないので」
「いや、しかし」
「大丈夫ですよ」
「念の為の確認ですが、ジェイドさんはレーナさんの案で良いといことでしょうか?」
「あぁ、特に問題ない」
「それなら、移動をしましょう。少し暗いですが移動するだけなら問題ないと思うので」
ということで、私達は拠点へと戻り、移動の準備を始めることになった。




