55.話し合い4
それからしばらくすると顔色が悪いランデルを連れてユミルさんが戻ってきた。
「ランデルさんも納得してくれたので、先ほど話した内容で作戦を実行します」
とユミルさんはそう言った。少し時間が掛かったけど、問題なく話が終わってとりあえず安心だ。
「それなら作戦の実行までどうする予定ですか?」
「これと言って特に予定がないので自由に過ごしても問題はないと思いますが、何かしないといけないこととかありますか?」
そう聞かれてみんな首を横に振っていたが作戦を決行するときは馬車などはどうするのかな? と思い聞いてみることにした。
「作戦を実行する際、馬車とかはどうする予定なんですか?」
「あ、そういえばその辺りのことを考えていなかったかも。とりあえず隅の方には移動をさせるとして、どのように隠した方がいいでしょうか?」
「無難に雪で隠したらどうですか?」
「雪で隠すだと? どれだけの雪を集めないといけないんだ」
すると顔色の悪いランデルがそう言った。気分が悪くてもそんなことははっきりと言うんだ。と思いながらランデルの発言に呆れていた。
「別に雪で埋めるとは言っていないわよ? 馬車全体に雪を纏わせれば視認がしにくくなると思っただけよ」
「なるほど、それくらいならそれほど時間を掛けずにできそうだね。よし、馬車を木々の間に移動をさせて、レーナさんが言った通りに雪で覆わせましょう」
「それなら馬はどうする?」
するとジェイドさんそんなこと聞いてきた。
「そこまでは考えていませんでした。……とりあえず馬が入りそうな空間を作って馬車と同様にしたらどうでしょうか?」
「う~ん。その方が無難かな? でも、どうやって?」
そう言われてどうしようかな? と考えていたとき、近くにある山の斜面が急になっていることを思い出した。
斜面を利用して、テントのシートを張ればある程度の空間は確保できるかな? 一応、馬車が通れそうな木々の間隔もあったから多分馬車を隠すのにもちょうどいいかもしれないし……。
「うまくいくかは分かりませんが近くにある山の斜面がかなり急だったので、そこを利用して、テントのシートを張って空間を作ればある程度は何とかなるかもしれません」
「……何となくは分かったけど、どの辺りで?」
そんなユミルさんの微妙な反応をみて、もしかしたらうまく伝わっていないかも? と思った。せっかくだし、確認も兼ねてその場所に行って私が言ったことができそうならその場で説明した方が伝わりやすいかもしれないと思いユミルさんに提案をしてみることにした。
「とりあえずその場所を確認してできそうならそこで、もう一度説明をしようと思いますがどうでしょうか?」
「……分かったわ。とりあえず私が見てこようと思うけど、ついて来る人はいる?」
「わ、私も行きます」
「俺も行こう」
とユアとジェイドさんがついてくることになった。
「それじゃあ、後の人は留守番頼むわね?」
「分かったわ」
「……」
ということで先ほど私が言った場所へと向かうことになった。




