51.報告??
「そ、それはちょっと……」
「何だ? 俺の言うことは聞けないだと?」
「そ、そんなことは言っていないけど……」
「ならいいじゃねぇか。俺がこの中で一番の先輩なんだぞ? 最近3年経ったんだからな」
ん? 3年? それならもしかして……。
「ユアって冒険者になってどれくらい?」
「え? えっと、3年と4カ月経ったくらい? 見習い期間も入れたら、4年半以上になるかな?」
ユアがそう言うとランデルの余裕そうな表情にひびが入った。
「それなら、ランデルが言うようにこの中で冒険者歴が最年長のユアの言うことは聞いてくれる
わね?」
「え? ええ?」
とユアは混乱している様子だったが、ランデルに何かされるよりはいいかな? と思いながらユアに話を振った。
「今回の偵察で分かったことは何だった?」
「え、えっと、ゲンツさんから聞いていた盗賊の人数より、今回確認できた盗賊の人達は少なかった?」
「そうだね。他に気付いたことは?」
「え~と、他の場所から帰ってきていた盗賊達がいたのと、川の水は飲みたくないとお思った」
「そうだね。盗賊達はわざわざ、川の下流まで移動して用を足していたからね?」
「え? どういことだ?」
するとランデルはやや困惑した様子で私達を見てきた。
「川の水が汚いということよ。まぁ、あそこから大分下流に当たるから、そこまで汚くない可能性もあるけど……」
私がそう言うとランデルの表情が徐々に悪くなっていった。
「席を外す」
ランデルはそう言い残すと馬車から出て行ったのだった。




