47.偵察3
「(やっぱり人の声が聞こえるの)」
「(……私もよ。ユアも聞こえたということは気のせいではないみたいね)」
と2人で話しているとユミルさんが私達の様子に気付いて近づいてきた。
「(2人ともどうかしたの?)」
「(さっきから人の声が聞こえるような気がすると思っていたらユアも聞こえたと言ったので……)」
「(え? 話し声が聞こえるの?)」
するとユミルさんが驚いた様子で私達に尋ねてきた。もしかしてユミルさんには聞こえなかったのかな? と思いながら頷くとユミルさんがさらに顔を近づけてきた。
「(どっちから聞こえるの?)」
そう聞かれたので私は魔法で確認した方向をユミルさんに教えた。
「(分かった。レーナさんが指した方向に慎重に進むから他の人に出くわさないように気を付けてついてきて)」
そう言ってユミルさんが歩き出したので私達はユミルさんの後に続いた。
それからしばらく歩いているとユミルさんにも人の声がしっかりと聞こえたようで慎重に先へと進んで行き。声が近くなったところで茂みから先の様子を窺った。そして私達の方に向き直ると私達に顔を近づけてきた。
「(今私達がいる場所から少し離れたところに洞窟があったわ。ただ、見張りらしき人が2人いてこれ以上近づくと見つかる可能性があるわ)」
「(そうですか……。それならこの後はどうする予定ですか?)」
「(……しばらく見張りの様子を窺って少しでも情報を集めたいとは思うけど、暗くなるまでには戻りたいと思うからそれほど長い時窺うことはできないと思うわ)」
「(分かりました。私達も、洞窟周辺の様子を窺いながら、この場所に近づいてくるものが居ないか確認していればいいですか?)」
「(……そうね。それでお願いするわ)」
そう言うことで私とユアは川沿いとその反対側を警戒しながらユミルさんの終わりの合図を待っていた。




