138.ゴブリンとの交戦4
それからしばらくしてコアンさんの準備が整ったようでゼロスさんに声を掛けた。
「準備ができました」
「そうか、コアン達のパーティが殿を務めて冒険者達を守ってやれ」
「分かりました。ゼロスさんはどうされる予定ですか?」
「ここでこいつらの足止めをする。流石に全部は厳しいがなるべく抑える方向で対処する予定だ」
「撤退完了後はどのような動きをする予定ですか?」
「おそらく、再度襲撃は難しいと思う。だから撤退することになる可能性が高いだろう。一応、他のパーティ達が合流してからが望ましいがその辺りの判断はコアンに一任する。仮に、俺が数日経っても戻らなかったら必ず街に帰還するように」
「……分かりました。レーナも行きますよ?」
そうコアンさんに言われたけど、ゼロスさん1人でゴブリンキングを倒すことが出来るのだろうか? と思った。まぁ、ゼロスさんの言い方だとしばらくしたら撤退するみたいな言い方だったが、ゴブリンキングを撒くことは難しいと思う。だから少なくともゴブリンキングを倒すまでは撤退できないのではないか? と思ったからだ。
「……私はここでゼロスさんの援護をします」
「……いいのか? そんなことしたら逃げる際、大変かもしれんぞ?」
「大丈夫です。逃げるのは結構得意ですから」
まぁ、実際は魔法を使いながら逃げるだけなので、ゼロスさんが思っているほどは難しくはないと思う。としか言えないかもしれないけど……。
「……レーナがそう言うのでしたらゼロスさんのお手伝いをしてもらった方がいいかと。これまでの働きぶりを考えるとゼロスさんの負担が減ると思います。その分レーナの負担が増えるかもしれませんが無理はしませんよね?」
「はい、偵察の時も無理はしないでできる限りのことをやってきたつもりですから」
「……分かった。そういうことならレーナにも手伝ってもらおう。ただ、何かあった場合は逃げる時間は俺が稼ぐから必ず逃げること、いいな?」
「はい。お願いします」
とそういうことで、私はゼロスさんのお手伝いをすることになった。それからしばらくして、コアンさん達は冒険者達を引き連れて馬車が置いてある地点へ向けて出発したのだった。




