137.ゴブリンとの交戦3
ゴブリン自体の数は減ったけど、ゴブリンキング3体はかなりまずい状況だ。ゼロスさんなら1匹は危なげなく倒していたけど、3体ともなるとかなり厳しいと思う。他の冒険者達で2匹を抑えることはできるのかな? と思っていると、前線で戦っていた冒険者が近づいてきたゴブリンキングに気付いたようで大きな声を上げた。
「お、大きなゴブリンが3匹近づいてくる。恐らく上位種だ!」
そう言うと戦っていた冒険者達は声がした方を確認していた。
「おい、……嘘だろ?」
「あ、あれって……」
とゴブリンを確認すると青い顔をしながらそう呟いた冒険者が何人かいた。まぁ、確認出来ていない冒険者や正体をはっきりと理解していない人もいるようだが、兎に角強いゴブリンが来たということを理解したようで、額に汗を浮かべているものも居た。
「ゴブリンキングだと? この集落でも倒したと言うのに3匹も居るとは……。もしかして、ゴブリンキングを束ねるゴブリンがいるのか?」
ゼロスさんはゴブリンキングを発見するとそのようなことを呟いた。私はゼロスさんに近づくとどういうことなのか尋ねてみた。
「ゴブリンキングより強いゴブリンが居るということですか?」
「……その可能性がある」
「因みにどういったゴブリンの可能性が?」
「……確証はないがゴブリンロードがいる可能性が高い。ゴブリンキングをまとめる存在はゴブリンロードしか確認されていないからな」
と私にだけ聞こえるようにゼロスさんはそう言ってきた。
「そうですか。……ゼロスさんはこの場に居るゴブリンキング達を倒すのは難しいですか?」
「……そうだな。他のゴブリンが邪魔しないという条件なら何とか戦えると言ったところだ。どちらにしろ、この場での戦闘は危険すぎる。一度撤退して立て直した方が賢明かもしれない」
「それってもう一度攻め込むのも難しいのでは?」
「……そうだな」
とそんなことを話していると冒険者の方でも混乱が起きていた。明らかに強そうなゴブリンに太刀打ちできそうもないものがそれなりに居たからだ。ただ、前線から下がるだけで済んでいるのはまだ冷静なのかもしれないが……。
「前線を門の入り口まで下げ、撤退する! 体力がある者が先頭もしくは側面でゴブリンを対処しながら馬車を置いた地点まで撤退する! コアン! 彼等の様子を見ながらある程度配置を決めてくれ、決まり次第、俺に報告をしろ。それまでは俺が時間を稼ぐ」
「分かりました」
そうして、前線を下げて行きながら、コアンさんは撤退時の配置を指示していた。私はというとゼロスさんが逃したゴブリンを処理しながら時間稼ぎのお手伝いをしていた。




