129.見張り?
そうして、ゼロスさんを捜していると門から離れたところにコアンさん達が居るのを発見した。ただ、コアンさん達は、別のところに注視しながら辺りの様子を窺っているようだった。まぁ、もちろんだが私がコアンさんを見ていることに気付いているようだが。
コアンさんの様子を見る限り、ゼロスさんとルノジス達がいる可能性が高いと思いコアンさんの方へと向かった。コアンさん達の方へと向かうと短剣を装備している男性が私の前の行く先を阻んだ。確か、ヒューイさんだったかな? とそんなことを思っているとヒューイさんが話しかけてきた。
「何をしにこっちに来た」
「ゼロスさんに伝えたいことがあってきました」
私がそう言うとヒューイさんはコアンさんに視線を向けた。するとコアンさんは首を横に振った。それを確認するとヒューイさんはこう言った。
「……今は取り込み中だ。だから、後にしてくれ」
取り込み中なのは知っている。そもそもルノジス達を捕まえたのは私だし。まぁ、ルノジス達の取り調べが始まったばっかりだと思うが……。
「取り調べをしている人達に関係あることだと思いますが?」
そう言うとヒューイさんは眉をピクッとさせた。すると後ろで様子を見ていたコアンさんが話しかけてきた。
「取り調べに関係あるとはどういうことですか? そもそも、ゼロスさんが何をしているのか知っているということですか?」
「ルノジス達の取り調べですよね?」
そう言うとコアンさんがやや驚いた表情をしながら尋ねてきた。
「……そうですがどうしてそれを?」
「私が彼等を捕まえたからです。他の冒険者達がゼロスさんの元へ連れて行ってくれましたが……」
「……一旦、ゼロスさんに聞いてくるから少し待っていてくれ」
コアンさんはそう言うと、角を曲がった先へと消えて行った。




