128.現状
ルノジス達は、この場から逃げようと腕を使ってあがいていたが少し離れたところに居た冒険者達がやってきて彼等を取り囲んだ。
「嬢ちゃん、なかなか強いな! とてもいい手際だったぞ」
すると1人の冒険者がそう声を掛けてきた。
「ど、どうも……」
「こいつらのことは俺達に任せておけ、縛り上げてゼロスさんのとこに連れて行くから」
とどうやらこの冒険者達がルノジスを拘束してゼロスさんの元に連れて行ってくれるらしい。正直ルノジス達の相手をしたくなかったのでこれはありがたいと思い彼等にお任せすることにした。
「すいませんがお願いします」
「おうよ。お前らさっさと縛り上げろ。俺はこいつらが妙な動きをしないか見ているからな」
と言って仲間に指示を出すとどこから持ってきたのか分からない縄でルノジス達を拘束した。それから持ち物を調べて、持っているものを全部回収し終えると「それじゃあ、連れて行くから」と言ってルノジス達を引き摺りながらゼロスさんの元へと向かって行った。
「とりあえず、あいつらのことはあれでいいとして、急いで逃げていた原因はおそらくゴブリンだと思うけど、どうなったのかな?」
と思い、魔法を使ってみるとゴブリンが集まっていた場所の規模が大きくなっていた。しかも、大量のゴブリンが集落全体へと広がっている。もしかして、ルノジス達を捜しているのだろうかと思った。まぁ、やっぱり彼等はゴブリンにちょっかいを掛けたのか……。とそのことを苦々しく思いながらも、現状にやや冷や汗を掻いている。この集落に居たゴブリンの数よりもこれから流れてくるゴブリンの数の方が圧倒的に多そうだったからだ。
「兎に角、ゼロスさんにこの現状を早く伝えた方がいいかも」
そう思い私はゼロスさんの元へと向かうのだった。




