125.作戦2
それからしばらくして、門の付近に多くの冒険者が集まってきた。偵察から戻ってきた冒険者達も居るからそろそろゼロスさんが説明にやってくるかな? と思って待っているとゼロスさんがやってきた。
ゼロスさんがやってくると談笑をしていた冒険者達は静まり返った。ゼロスさんは冒険者達を見渡すと話し始めた。
「……まずは、偵察で得た情報を共有する。まずは、ゴブリンの拠点だが、ここから1時間程離れたところに拠点がある。道中にはたくさんのゴブリンが見回りをしているそうで、偵察の途中からゴブリンがより警戒をし始めたそうで、現在は見張りの数が多いそうだ。このことについては、原因がまだ不明なので十分注意するように。
次に拠点についてだが、入口に見張りが居て中は3つの通路に分かれているそうだ。1つは、保管庫で、もう1つがゴブリンの寝床、最後は、おそらくゴブリン達の親玉が居るとされている。詳しい情報はないが、ゴブリンの親玉がいると思われる場所には、ゴブリンの上位種が多数いるとのことだ。ここまでが今回の偵察で得た情報だ」
「ゴブリンの上位種はどれくらいいるの?」
「それについては、ざっと見た感じ100は居たと言っていた。ただ、それは入口の部分では、ということで奥にはもっとたくさんいる可能性がある」
「それって俺達の戦力的には厳しいんじゃあ……」
すると1人の冒険者がそんなことを呟くと近くに居た冒険者達も同様に頷いていた。
「確かに、今回の拠点については戦力的にかなり厳しい。そもそも、この集落でさえもかなり厳しかったはずだが幸い怪我人は出てもまだ死人は出ていない。みんながゴブリンに十分に注意を払い倒したからできたことだと俺は思っている。今回も同様に頑張って欲しい。と伝えたいところだが、奇襲を仕掛けられない。恐らくゴブリン達も俺達の存在に気付いて警戒をしているはずだ」
「それならどういう作戦にするの?」
「……基本は、この集落の討伐と同様に行いたいと思っている。ただ、今回はそれ以上に危険が伴う。そこで、作戦中に形勢が不利になったら馬車が置いてある場所まで撤退しても構わないがゴブリンはなるべく引き連れないように注意して馬車のところへ戻るように」
「それって私達の判断で戻ってもいいということですか?」
「そうだ。だが、撤退しても、怪我をしていない限り馬車を守るのに協力するように。もちろん、撤退する際に危険が伴うがそこは十分注意するようにしてくれ」
そう言うと冒険者達は頷いた。
「他に何か聞きたいことはあるか?」
そう聞くと冒険者達はいくつか質問をしていたので私は質問が終わるのを待っていた。
「質問はもういいか?」
そうゼロスさんは質問がないのかを確認したが冒険者達からの質問は上がらなかった。
「……作戦の決行は日没にする。それまで各自、休むなり武器の手入れをするように」
そうして、作戦の説明が終わり各々の準備を始めた。ただ、一部の冒険者達は、先ほどの内容を他の場所を守っている冒険者達に伝えに行ったみたい。まぁ、ゼロスさんの指示だろうけど……。そんなことを思いながら私も少し離れたところで武器の手入れをすることにした。




