124.報告
それからゴブリンの集落だった場所を目指して戻っていたのだが、なぜだかゴブリンの見回りが異常に増えていた。
(さっきよりも数が多い。一体何があったの?)
とそんなことを思いながら思い当たるのは、ゴブリンが拠点としている洞窟に入る前のこと。入口を守っていたゴブリンが持ち場を離れてどこかに向かったことだけ。
(あのときに何かあったってことだよね……)
現状では、見つからないように進むのが精一杯だからそれを調べるのは難しそうだ。
(とにかく早く戻ってゼロスさんに伝えないと)
そう思い、逸る気持ちを抑えながらなんとかゴブリンがたくさんいる範囲を脱出した。それから急いでゼロスさんの元へと戻るのだった。
ゼロスさんの元に着いたら、早速洞窟内のことと洞窟周辺のゴブリンの様子がおかしいことを伝えた。伝えた内容はこんな感じだ。
洞窟内は3つに分かれていること
1つは保管庫、もう1つは、ゴブリンの寝床、そして最後は、ゴブリンの親玉がいると思われる場所だと
ゴブリンの親玉がいるであろう場所には上位種と思われるゴブリンがたくさんいたこと
帰り際は、洞窟から出たらゴブリンの見回りが異常に増えていたこと
こういった内容をゼロスさんに伝えているとゼロスさんはずっと険しい表情をしながら聞いていた。
「私が分かった範囲では以上です」
「そうか、分かった。とりあえず、今後の方針が決まるまで体を休めておけ」
「分かりました」
そうして、私の偵察任務は終わり、ゼロスさんが今後の方針について説明するのを待っていた。




