107.作戦へ31
階段を下りて行くと次第に異臭が強くなっていった。そして、扉の前に着いたのでゼロスさんが私の方を見てきたので頷くとゆっくりと開けられた。
扉の先にあったのは、細長い通路と木でできた檻があった。
「とりあえず、警戒をしながら先へと進んで行くぞ」
「はい」
そうして、細長い通路を歩いて行くと所々赤黒い血が檻から流れて固まっている場所が何か所もあった。ただ、檻の中は何もなかったがここで何かされていたのは間違いないと思う。
それからしばらくすると人の反応があった場所へと近づいた。すると微かに息をしている音が聞こえた。
「誰かいます」
「!? (本当か!?)」
「は、はい。近くから微かに息をする音が聞こえます」
そう言うとゼロスさんは周囲を警戒しながらやや速足で檻の中を確認していくと人の反応があるあたりに着いた。
「……確かに誰かいる」
ゼロスさんがそう言ったので中を覗いてみるとそこには3人の女の人が裸のまま倒れていた。ここにあった反応は1つだったから、おそらく2人は亡くなっている。そんなことを思いながらよく見てみると全員血を流していて辺りには夥しい量の血が飛び散っていた。どの人が生きているのだろう。とそんなことを思っていると一番奥にいる人が僅かに動いているように見えた。
「生きている人が居ます」
そう言って木でできている檻を私は刀で切って中へと入った。檻の中へ一歩踏み出すと流れていた血がまだ固まっていないようでネチャと音がした。もしかしたら、もう少し早くこの場所に来ていたら他の人達も生きていたのかもしれないとそんなことを思いながら一番奥で倒れている女性に近づいた。
「ッ……、ッ……」
虫の息かもしれないが微かに呼吸音が聞こえたので、私が持っていたポーションをいくつか取り出して傷だらけの彼女に掛けた。すると傷だらけだった彼女の体はポーションを掛けた部分だけ綺麗になった。
本当ならもっと掛けたいところだがポーションの数にも限りがあるため傷が深そうなところにしか掛けなかった。あとは、ひっくり返して同様のことをして、ポーションを飲ませて回復をさせたいところだけどちゃんと飲んでくれるのだろうか……。彼女の体を慎重に動かして深そうな傷にポーションを掛けた。
そして、私が持っている中で一番効果の高いポーションを取り出してゆっくりと彼女の口へと流し込むと何とか飲み込んでくれた。そのことに一安心しながら少しずつポーションを飲ませていきなんとか1本飲ませることができた。




