101.作戦へ25
「怪我の状態はどんな感じだ」
「とりあえず、血は止まりましたが普通に歩くことが少し難しい状態です」
と怪我をした冒険者がそう言った、
「ポーションを使ってもか?」
「は、はい。あ、でも、ポーションのおかげで痛みは引きました」
「……多分ですけど、この怪我を治すのなら少なくてもBランクポーションが必要だと思います」
「……Bランクポーションか。一応、1つ持っている」
そう言ってゼロスさんが持っていた鞄からポーションを取り出した。
「い、いえ、大丈夫です! そんな高価なポーションを私には払えません!」
「気にしなくてもいい。ルノジス達がしたことについては私にも責任がある。気にしないで使ってくれ」
「で、ですが、1つしかない貴重なものを……」
とそんなやり取りを見ていて、私もBランクポーションを持っていることを思い出した。大分前に作ったポーションだけど、大丈夫のはず。
「私もBランクポーションを持っていますが使いますか?」
「「「「え?」」」」
するとみんなが驚いて私の方を見てきた。
「……本当に持っているのか?」
「はい」
ゼロスさんにそう聞かれたので私は鞄の中からそのポーションを取り出した。
「よかったらどうぞ?」
そう言うとゼロスさんは受け取り、そのポーションを見ていた。
「……特に、おかしな点はないな。Bランクポーションは高価で、普通に買うのは難しいはずだが」
とゼロスさんがそう言った。そう言えばエレナさんにもそんなようなことを言われたような気がする。とりあえず、嘘をつかない範囲で……。
「知り合いの人から教わったからです」
と私は答えた。エレナさんからポーションの作り方を教わったからあながち間違いではないし、冒険者には言えないことがあっても深くは聞いてこないはずだから多分問題ないはずと思いながらゼロスさんの方を見ていた。
「……そうなのか?」
「はい」
「……まぁ、冒険者には言えない事情とかあるだろうから深くは聞かないがこのポーション本当にいいのか?」
「大丈夫です」
「……分かった。とりあえず、このポーションを飲んでもらおう。効果までは分からないがちゃんとしたポーションであると俺が保証しよう」
そうゼロスさんが言うと怪我をした冒険者はおそるおそる受けとり、そのポーションを飲むと体が淡く光ったのだった。




