85.作戦へ9
「レーナ大丈夫か!?」
するとゼロスさんから焦ったような声が聞こえた。もしかして、他の人達と少し離れているから心配されたのかな?
「大丈夫です! 特に問題はありません!」
「……そうか。とりあえず、こっちはあらかた片付いたから俺もそっちへ向かう」
ゼロスさんは私が無事であることが分かると、そう言って私の方へ向かってゴブリンを倒し始めた。まぁ、ゴブリンがたくさんいるからゼロスさんが来てくれたら大分楽になるかな? とそんなことを思いながら目の前にいるゴブリンに意識を向けた。
ゴブリンは私のこと睨めつけながらも、怪我した足を庇うようにしながら私の様子を窺っていた。もしかしたら、先ほどの攻撃は思っていた以上に効いていて動けないのかもしれない。もっと深くないと行動の阻害にはならないと思ったけど、先ほど与えた攻撃で十分だったようだ。
さっき少し戦ってみて力はある程度拮抗していたから、無理をしなければそれなりに捌けると思う。だから、今度は私の方から攻撃を仕掛けることにした。もちろん、警戒は怠らないつもりだが、さっさとゴブリンを片付けて予定通り集落の中心に向かわないと。そんなことを思いながら私はゴブリンの方へと駆け出した。
ゴブリンは私が近づいてくると武器を構えて待ち構えていた。先ほどは力任せの攻撃だったけど、足を怪我しているから先ほどよりは力が入らないはず。もしかしたら、力任せの攻撃だけじゃない可能性もあるから十分注意しないと。そんなことをゴブリンに向かって刀を振るったのだった。




