68.準備?2
それからどれだけ寝たのかは分からないけど、目が覚めた。隣をみるとユアがまだ寝ていた。ゼロスさん達に起こされることがなかったからおそらくまだ作戦決行時間前だと思う。まぁ、起きなかったら置いていくということも考えられるから絶対ではないけど……。
(とりあえず、ゼロスさん達を探すかな?)
そう思い装備を整えて馬車を出ると少し離れたところで焚火をしている人達がいた。
(あれは、コアンさん達? 近くにゼロスさん達もいるから何か話しているのかな?)
とそんなことを思いながら彼等の方へと近づいて行く。そして大分近くまで来たときにゼロスさんが私のことに気付いた。
「レーナの嬢ちゃん、起きたか?」
「はい」
「一応、様子を確認したが2人ともぐっすり寝ていたな……」
とゼロスさんが苦笑いをしながらそんなことを言ってきた。
「それは体を休めるためもありますから普通ですよね?」
「それは凄いことですよ?」
私がそう言うとコアンさんがそんなことを言ってきた。何がすごいことなのだろう? と思い首を傾げているとコアンさんが説明をしてくれた。
「これからゴブリンの集落討伐に向かうよね?」
「はい」
「話を聞いていたから知っていると思うけど、ゴブリンがたくさんいてこの辺りもそれなりのゴブリンがうろついている。そんな状況の中ちゃんと眠ることができたということはかなりすごいことだよ?」
そう言われるとそんな場所で眠るのは凄いのかもしれないとそんなことを思った。でも、他の人達が見張りをしているからそうそうゴブリンが私達が寝ている馬車までは来ないのでは? と思った。
「確かにそうかもしれませんが、他の人が見張りをしてくれているわけなのでそれなりに眠れるのでは?」
「レーナさんが言いたいことは分かりますが、普通の冒険者達はそう言った環境でも不安でうまく眠れませんよ?」
そう言われるとそんな気もするけど、私の記憶では家の中より外の方がよく眠れた記憶がある。もちろん冬だと寒いから暖かい時期だけだが、もしかしたらあれな場所で生活をしていたから外でも寝れるのかも? と思った。
まぁ、前の世界での記憶を思い出す前からそんなことがあったからちょっとそのあたりの感覚が鈍いのかもしれない。最初の頃とかそれなりに気にしていたときもあったけど、なんやかんやよく寝ていたような気はするし……。
「……もうちょっと気に掛けるようにします」
「ちゃんと眠れるなら今のままの方がいいよ? ただ、命の危険が迫ったときにはちゃんと起き
れるようにしないと大怪我をして目覚めることもあるから気を付けて」
「分かりました。あと、もっと楽に話してください。コアンさんの方が先輩になるので、それにあまり丁寧に話されるのはちょっと……」
先輩冒険者なのにあまり丁寧に話されると違和感がある。命令口調でただいろいろと言われるのは嫌だけど、悪い人ではないので気楽に話しかけてくれた方が話しやすいかな? とそんなことを思いながらそう言うとゲンツさんがこんなことを言ってきた。
「嬢ちゃん、コアンはもともとこういう話し方だ。だからあまり気にしないようにしてくれ。それに、コアンもさん付けで話すのはやめた方がいい。それでいろいろと問題があっただろ?」
「分かりました」
「分かりました。できるだけ気を付けます」
「そうしてくれ」




