63.作戦2
するととある冒険者がこんなことを聞いてきた。
「山の方にいるゴブリンの情報はもっとないのか?」
まぁ、ゴブリンの町から少し離れた山にたくさんのゴブリンがいるなんて情報は今までなかったからいろいろと知りたいと思うのも分かる。私も、そんなことを聞いたら気になるから。でも、気付いたのが遅かったからあまり調べれなかったよなぁ……。と思いながら話を聞いていた。
「先ほど話した以上の情報はない。一応、街の制圧が終わってから調べる方向で考えている」
「……分かった」
男の人は情報がないということが分かるとやや難しそうな顔をしながらそう言って頷いた。
「とにかく、分からない情報も多い中でゴブリンとの戦闘をしなくてはならないということだ。その為のパーティ単位での行動だが、分からないメンバー同士よりも、ある程度知っている者同士の方が多少はやりやすいと思っている。そこで、お前達に時間を与えるから知り合い同士で集まれ。できれば5人以上が望ましいがその集まったメンバーを1つのパーティと考えて作戦を割り振る予定だ。ただ、知り合いがいない場合はこちらで勝手に決めさせてもらう。そのつもりで相談しながら決めるように」
そうゲンツさんに言われると冒険者達は動き出した。ただ、私が知り合いだと言えそうなのはここまで道中を一緒にしてきたゼロスさん達ぐらい……。冒険者のランクが大分違うからお願いするのは良くないよなぁ……。と思った。そもそもゼロスさんは今回のゴブリンの集落討伐のボスを倒す役割を担っているから最前線で戦う予定だ。そんな人とはパーティになるのは難しいと思うし……。
そんなわけで他に知り合いのいない私は、ゲンツさんが声を掛けるまで待機しているしかなかった。
もういっその事、単独でゴブリンを倒すだけでもいいのにとそんなことを思いながらゲンツさんが声を掛けるのを待っていた。




