58.報告
誰かに体を優しく揺すられていることに気付き、何だろう? と思いながら目を覚ますとユアが私の体を軽く揺すっていた。そう言えば寝る前に何かあったら起こすかも知れない。そうユアが言っていたのを思い出した。
「ん、何かあったの?」
「え~と、あったようでなかったり?」
不思議な回答をされてやや困惑をしていると入口の方からゲンツさんの声が聞こえた。
「ユア、レーナを起こしたか?」
「は、はい!」
そんな会話を聞いていてあることを思い出した。
「そう言えば偵察してきたこと話していなかったわ。なるほどそれで……」
そこでユアが曖昧な表現をした理由が分かった。緊急事態と言うわけではないけど、確かに必要なことではあったから答え方に悩んでいたのかも。
「その、日が暮れる前には話を聞きたいみたいで起こして欲しいって言われたの」
「分かったわ。とりあえず、報告してくるよ」
そう言って私は馬車を下りたのだった。
そして、馬車を下りるとゲンツさんとゼロスさんがやや厳しい表情をしていた。もしかして戻ってきてすぐに報告しなかったからかも。とそんなことを思いながらなるべく普通に話しかけてみることにした。
「えっと……、戻ってきてから報告をしないで、休憩をしてすいません」
「そうだな。とりあえず、戻ってきたくらいは報告して欲しかったな。休憩を咎めるつもりはないが……」
「……すいません」
「まぁ、注意はこの辺にしておこう。それで、偵察はどうだったんだ?」
するとゲンツさんは偵察のことを聞いてきたので私は、偵察で知った情報をゲンツさん達に伝えた。




