51.偵察3
それからしばらくの間、パーティ内と親しい人同士で相談している人達がいたがそうじゃない私を含めて4人はというと、手持ち無沙汰だった。するとゲンツさんとゼロスさんが話をしていたがしばらくするとそう言った人達は近くに来るように言われたのでゲンツさん達の元へ向かった。
「お前達には、単独で動いてもらうか仮パーティとして偵察するか決めてもらいたい。ただ、お互い知らないこととかも多いと思う。だから無理にとは言わないがどうするか決めて欲しい。もし、単独では偵察したくないと言うのなら下りても構わない」
そう言われて私達は顔を見合わせたが、私的には知らない人とはあまり組みたくないなぁ……と思っている。ただ、私以外の3人は顔見知りなのか互いにちらちら見ている様子だった。まぁ、話がうまく進む感じがしないから、私の方から何か言った方がいいのかな? と思った。
「私は単独で大丈夫です」
そう言うと、私以外の人が驚いていた。するとゲンツさんが少し、険しい表情をしながら聞いてきた。
「……大丈夫なのか?」
「大丈夫です。山で何か探したり狩ったりするのはそれなりに慣れていますから」
「ゴブリンがたくさんいるのに嬢ちゃんだけで大丈夫なのかよ?」
すると他の冒険者からそんなことを言われた。そう言えば、この人は私が偵察に参加することにいい顔をしていなかった人だと気付いた。
「ゴブリンくらい大したことないです」
「それは当たり前だろ? じゃないと依頼に来れないからな。そうだな、少なくてもオークを単独で倒せるくらいないとな?」
「倒したことあるわ」
「はぁっ、嘘はよくねぇ、自分が死ぬかもしれないということを考えてから発言しろ」
……? 口は悪いけど、もしかして私のことを心配している? ……まぁ、本当のところはどう思っているのか分からないけど、オークを倒したことがあるのは事実なんだけどなぁ……。
「その辺にしておけ、話が進まなくなる」
するとゲンツさんが止めに入ってきた。
「今、話すようなことではないよな。それに、嬢ちゃんのことが不安なのは分かるが彼女は結構強いから大丈夫だ。俺はオークを倒した現場に遭遇したことあるからな」
「え?」
すると先ほどの男が驚いた声を上げた。そして他の人達も驚いた表情をしていた。いちいち驚かなくてもいいのに……。とそんなことを思った。
それから少しいろいろなことがありながら私が単独で行動することに許可が下りた。




