50.偵察2
「ここに残っているものでゴブリンの集落を偵察してくれるということでいいんだな?」
そう言われたので頷くと他の冒険者達も同様に頷いた。ただ、ほとんどの冒険者が私の方をちらちらと見ているが……。
「そ、その、あの女の子もですか?」
すると女性の冒険者が私のことをちらちらと見ながらゲンツさんにそう尋ねた。
「そうだ。一応、許可を出したギルド職員にも確認したが特に問題ない」
「その子も偵察ができると言うのか?」
「おそらく大丈夫だと思う。野営をしているときに短時間で鳥やウルフを狩ってきたくらいだからそれなりに活躍できると思う」
「戦闘については?」
「それは道中で確認した。一瞬でゴブリンを片付けたりしていたから戦闘も問題ない」
そう言うと冒険者達の質問が止んだ。
「とりあえず、納得してくれたということでいいか?」
そう言うと頷く者も居れば、やや顔をしかめながら黙っている冒険者もいた。まぁ、一緒には行動しないと思うから自由にやらしてもらおうと思った。変に一緒に組んだら余計に揉めそうな気がするし……。
「とりあえず、どんなことをしてもらいたいか説明をする」
そう言うと冒険者達は静かにゲンツさんの方を向いた。
「まずは、ゴブリンの集落の確認をしてから侵入できそうな場所を探してもらいたい。その時できる限り集落の情報を集めて欲しい。もちろん、自身の安全を最優先にしてもらって構わない」
「それは、集落に近づけなくても同じですか?」
「そうだ。わざわざ危険を冒して怪我をしたら元も子もないからな」
「……誰も辿りつけなかったらどうするんだ?」
「そのときは仕方ない。諦めて作戦を練ろうと思う」
「……他には質問はないのか?」
そう聞く全員が頷いたのでゲンツさんは続きを話し始めた。
「他には、ゴブリンが多く集まっている場所を探してもらいたい。恐らく集落の中にたくさんのゴブリンが居ると思うが、外にもそれなりの数が居ると思う。できたら、中の情報が欲しいが少なくても集落の外に居るゴブリンについてできる限り調べて欲しい。これがお前達にやってもらいたいことだ。偵察の内容としては以上だが何か聞きたいことはあるか?」
「……どのようにしてゴブリンの集落を調べるの?」
「それに関しては冒険者各々に任せようと思う。パーティを組んでもいいし、1人で行動してもいい。ただし、戦闘に関しては細心の注意を払ってやるように。ゴブリンの集落が近いから一歩間違えたら大量のゴブリンと戦う羽目になるからな」
そう言うと冒険者達は頷いて、周りと相談しながらいろいろと役割などを決めていた。まぁ、私は元々1人で行くつもりだったから会話には参加しない予定だが。




