46.見張り
それから夕食を摂るとゼロスさんとゲンツさんは馬車の外で作戦を練っていたので、私達は早めに寝ることにした。明日は早く起きて見張り番をしないといけないからね?
そうして、目が覚めるとゼロスさんとゲンツさんの声が聞こえた。もしかしてもう起きていたのかな? と思い馬車の外に出るとゼロスさんは私が出てきたことに気付いた。
「もう、起きてきたのか?」
すると話をしていたゲンツさんも後ろに振り返った。
「起きるのが早いな」
「今日は見張りの日だよね?」
「……そう言えばそうだったな」
「話し込んでいて忘れるところだった」
と2人はそんなことを言った。
「……もしかして寝ていないのですか?」
「まぁ、そうだ」
「冒険者なら1日2日寝ないでいるくらい大丈夫だ。高ランクである冒険者であるほどそういった状況が多かったりするしな」
「え? そうなの?」
「あくまでも依頼の内容にもよるがそれができないと難しい依頼もある。まぁ、逆にどこでも寝れるのなら問題ないと思うが危険地帯で眠れる奴はそうはいない。だから、起きている冒険者が多くてさっきゼロスが言ったようなことができる冒険者が多かったりする」
「そうなんだ……」
「まぁ、あくまでも、一例だ。そこまで危険な依頼になるのはBランク以上の冒険者が受ける依頼だ」
……あれ? それってつまり……。
「今回の依頼もですか?」
「「……」」
私がそうやって聞くと2人とも黙ってしまった。何も言わない。つまりその可能性があるということか……。
「まぁ、あくまでも可能性の話だ。もし何かあっても、高ランク冒険者が低ランクの冒険者を逃がすのが暗黙の了解だ」
「つまり、その役がゼロスさんだと……」
「まぁ、そうなるがある程度抑えたら逃げてはもらうのが普通だ。ゼロスが抑えている間に逃げる側の人達は前後に冒険者ランクの高いものか戦闘が得意なもので固めて逃げる」
なるほど。と思いながら聞いていたけど、どうして私にそんなことを説明してくれたのだろう? と思い聞いてみようとしたら馬車からユアが下りてきた。
「そろそろ見張りに行く準備をするか」
「そうですね」
そう言ってゲンツさん達が準備を始めてしまったので私もユアと一緒に準備をした。




