表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・・・自由に生きよう!  作者: 夜叉神
第二章 森の異変
50/846

19.モンスタートレイン (2025/5/18)


 ユア怪我を確認するために服を捲ると深めの傷ができていた。


「沁みると思うけど我慢をしてね」


 そう言って傷口に水を掛けて洗うとユアは、痛そうにしながらも歯を食いしばって耐えていた。それからポーションを掛けると傷口が徐々に塞がっていくと次第に楽になったようで目を開けた。


「もう大丈夫?」


「うん」


 そう言って上体を起こしてあげたときユアの体が強張った。


「れ、レーナちゃん」


「大丈夫」


 そう言いながら後ろを振り向くとそこには、ゴブリンが半円を描くように武器を構えて立っていた。後に逃げようと思えば逃げ切れると思うけどユアがいるからそれができるとは思えない。でも、先程の件で凄く苛ついてからこの苛立ちをゴブリンにぶつけて少しは発散しようと思いながらゴブリンと向き合った。


「ユア、少しは、戦えそう?」


 先ほどまでずっと走っていたから体力的にもかなり辛い部分もあると思う。私がしっかりとゴブリンを抑えながら倒すことができるかと聞かれるとうまくできるかは分からない。なのでユアには最低限やり過ごすくらいはできて欲しいと思った。


「た、多分」


 ユアは自信なさそうにそう言ったが無理とは言わなかった。ある程度は頑張ろうと思っているのかもしれない。私もできる限り最善を尽くそうと思った。


「私はゴブリンに攻撃を仕掛けるけど、ゴブリンはユアの方に行くかもしれない。その際はしっかりと相手をしてくれるかな? 数が多かったら持ち堪えるだけでもいいからどうかな?」


「で、出来るだけ頑張る」


「分かった。お願いね?」


 そう言って私は、ゴブリンの方に向かって歩き出した。


 私がゴブリンに向かって歩いているとゴブリンは、警戒しながらも仲間と目配せをしたかと思ったら、5匹ぐらい私の方に向かって走ってきた。そして私の近くに来ると各々木製の棍棒を振ってきたがそれを避けて懐に潜りこむとそのまま首を切りつけて落としていく。


 ユアの方にはなるべくゴブリンが行かせないように気を付けながら倒していくが思いの外あっさりと片付く。そんな感じで次々に襲ってきたゴブリンも片付けて行くと金属製の剣を持った先ほどとは明らかに格が違うゴブリンが3匹私の前にやってきた。


 もしかして上位種かな? と思ったが別に倒せなくもないかな? と思いながら気を引き締める。するとゴブリン達が動き出した。


 そして武器を振るうが先ほどゴブリンと違い無闇に振り回しているわけでなくしっかりと振れている。多分だけどオノマよりも技量は上かもしれない。でも、あの時の彼は、怒り任せだったからそう感じただけという可能性も少しは、あるのかもしれないけど……。


 そんなゴブリンに囲まれてナイフでいなしたり避けたりしていたけど、ゴブリンの連携が上手くて攻撃できそうなタイミングが……。とそんなことを思っているときだった。


「レーナちゃん後ろ!」


 ユアにそう言われてチラッと背後を見るとゴブリンがこちらを殴ろうと木製の棍棒を振り上げている所だった。横からも、攻撃が来ようとしている。少し不味いかもと思いながらも横からの攻撃をナイフで弾いてから後ろに向かって回し蹴りをする。すると棍棒が私のフードに当たってフードが脱げると同時に私の蹴りがゴブリンの顔面に当たった。するとゴブリンの首辺りから血を飛び散らせながら体が少し宙に浮いて横向きに倒れた。


 今の攻撃は、少し危なかったかも……。もう少し後ろも気を付けよう。とそんなことを思いながら固まっていた上位種と思われるゴブリンに急いで近づくとそのゴブリンは、こちらが接近していることに気付いて剣を振ろうとしていたので、それを躱しながらナイフで足を切り付けると体勢を崩したがすぐに他のゴブリンがやって来たため一旦距離をとった。


 これで3匹の連携は、崩れるはず。そんなことを思っていると今度は、普通のゴブリンも交ざって攻撃をして来る。もしかして本当に不味いかも? とそんなことを思ったが流石に彼等とは、上手く連携は、取れていなかった。私は、隙をついてナイフで首を落としたり蹴り飛ばしたりして行動できないようにしていき数を減らしていく。


 そうして立っているゴブリンは先ほどの3匹となった。


「ふぅ~。あと3匹」


 ようやくここまで減らすことができた。チラッとユアの様子を窺うとユアの近くに数匹のゴブリンが倒れていた。どうやら無事に倒せたみたい。そのことに一安心しながらゴブリン達を見据える。すると2匹が動き出した。でも、先程のような連携は、なく隙を見つけては、足や腕を切りつけていき1匹を倒す。


 そして残った動けるゴブリンは、私と打ち合いをしていたけど、正面から受け止められることが分かり、思いっきり振り抜くとゴブリンが持っていた剣を二つに切断した。そして、そのまま上に向かって振り抜き首を切りつけるが一撃で刈り取ることができなかった。ゴブリンは後ろによろめきながらも距離を取ろうとしたので間合いを詰めて接近した。すると横から何かが来たので咄嗟に後方に下がると先ほどまでいた場所に剣が通り過ぎる。


 足を怪我しているゴブリンは、私が他のゴブリンと戦っている間に近づいて来たようだ。まぁ、私が避けたことに驚いた表情をしていたが……。私はそのゴブリンに急いで近づいて攻撃をしようとしたのだが地面に倒れているゴブリンが邪魔で上手く走れずに距離を取られてしまった。


 何も考えずにとにかく倒すことは、よくなかったかも知れないと思ったけど、足の踏み場がないのならゴブリンの死体を踏み台と考えて行動すればいいかも? と思った。でも、踏む場所に気を付けないとバランスを崩すかもしれない。そう思い足元にも気を付けながらゴブリンとの距離を詰めていく。まぁ、彼等は、二手に分かれているからどちらか片方を先にやってから倒せばいいかな? と思い近くにいるゴブリン目掛けて走り出す。


 足元に気を付けながら近づくと折れた剣を振ってきたのでそれを避けて首を切り落とした。これで残るのは、足を怪我しているゴブリンだけだ。ただ、どんな攻撃を仕掛けてくるかがわからないため警戒しながら近づいて行く。すると近くに落ちていた棍棒を私に向かって投げて来た。それを避けながらゴブリンに近づいて行くと剣を振ってきたので横に薙ぎながら剣を持っている手の甲を目掛けて蹴りを入れると「ゴギッ」という音と一緒にゴブリンの悲鳴が聞こえた。どうやら思っていた以上に攻撃がうまくいったみたい。すると怒ったゴブリンが私に近づいて、殴ろうとしてきたのでナイフで腕を切り落とした。そして怪我をしている方の足をもう一度切りつけるとゴブリンは、喚きながら倒れる。


 ゴブリンは、起き上がろうとするが起き上がることができない。片方の足は私がかなり深く切り付けているから立てるはずもない。そんなゴブリンに近づいていくと動かせる腕で殴ろうとして来るがそこまで強くないから受け止めてからゴブリンの肩を勢いよく踏みつけると皮膚が裂けて血が飛び散った。


「グギャギャギャ…」


 と喚いてうるさかったのでゴブリンの顔面に思いっきり踵落としをすると血などの破片が飛び散った。


「え?」


 驚いたことにゴブリンの頭部を踏み抜いていた。そこまで潰れるとは、思っていなくて驚いたがとりあえずゴブリンの頭? から足を抜いた。とりあえず、これで戦闘は終わったはず……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ