37.偵察メンバーの捜索2
そうして森の中を歩いているとやや開けた場所に出た。ただ、開けた場所と言っても木々を抜けただけで、その先には崖だが……。
「……この辺りで一度休憩をしよう」
するとゲンツさんがそう言ったので、ここで一休みすることになった。私は近くに転がっていた岩に腰を掛た。そして持っている水筒から水を飲んで一息つくと、ゲンツさん達も似たようなことをしていた。
「そろそろ戻らないと戻ることが難しくなりそうだな……」
「そうですね」
「それじゃあ、もう戻るのですか?」
「そうだな。手がかりがほとんどないから合流するのが難しいかもしれん」
「そう言えばですけど、どこで拠点を作っているのかとかは聞いていないのですか?」
「一応、聞いてはいるがそれは俺達が馬車を停めたところだ」
「どういうことですか?」
聞いていた拠点には誰も居なかった。報告をしに来た人がいたのにそんなことがありえるのだろうか?
「一応、偵察をして戻ってきた冒険者達によると馬車を止めた場所に拠点を作ってあるとは聞いたが、ゴブリンの集落が大きいから、何かあった際には移動をするという話も聞いている」
え? それって……。
「そうだ。何があったのかは分からないが移動せざるを得ない状況になったのだろう」
「でも、あの場では何も聞いていないけど、伝えていないということ?」
「そうだ。とも言えるかもしれないが拠点があるかもしれないということは伝えていない。ギルドに伝えに来た冒険者達が今の人数で拠点を作ることは危険かもしれないから移動しながら集落について調べる可能性が高いと言っていたからだ」
「……なるほど」
まぁ、嘘は伝えていないが偵察メンバーだけではリスクが大きすぎたということは分かった。
「もしかしたら、その偵察メンバーがギルドに拠点だと教えた場所に確認に来たりするかもしれないってこと?」
「その可能性もあるが念の為探している。ついでに少しでもゴブリンが減ってくれたらと思い他の冒険者達にも危険がない範囲で捜索のお願いをした部分もある」
ギルド職員だからいろいろなことを想定しながら考えている感じかな? でも、どうして私達に教えてくれたのだろう? と思った。
「それなら、どうして私達には教えてくれたの?」
「……何となくだ。ただの俺の勘かもしれないがよくないことが起こりそうな気がしてならん」
その話を聞いて本当によくないことが起こりそうな気がしてきた。そもそも道中で倒したゴブリンの数でさえかなりの数だった。ギルドから聞いていた1000匹以上という話だったが道中の間で倒しているのでは? と思う程にはかなり遭遇してきたから……。
「ゲンツさんがそう言うということは俺達にとって本当にヤバいことになっているかもしれないな……」
とゼロスさんがそんなことを呟いた。




