表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・・・自由に生きよう!  作者: 夜叉神
第二章 森の異変
49/846

18.戦闘 (2025/5/18)


 ゴブリンが走り出したら私もゴブリンに向かって走り出す。ゴブリンは、近づいて来た私に向かって棍棒を振り下ろしてきたが速い攻撃ではないので、あっさりと躱して横を通り抜けながら膝辺りをナイフで切りつける。「グギャー」とゴブリンの悲鳴が聞こえるがそれを気にしないで同じように斬りつけていく。そして後ろに振り返ると地面に倒れているゴブリンが5匹いた。3匹は、ユアの方に行ったみたいだけど何とか捌いている。とりあえず地面に倒れているゴブリンの息を止めてからユアの手助けに行こうと思った。近くにいるゴブリンに近づくと棍棒を振り回し始めてうっとうしかったから足で思いっきり蹴飛ばした。


「グギャー―」


「え?」


 思いっ切り蹴飛ばしたらゴブリンの腕が千切れて飛んでいった。予想外の光景に少し驚いたけど今はゴブリンを早く倒さないと。そう思いナイフで首を切り落としていく。


 その作業が終わってユアを見ると相手にしていたゴブリンの数が1匹減っていた。私が倒している間に1匹倒したみたい。


 さっきはゴブリンに襲われて青い顔していたけど、思ったよりも大丈夫そうで少し安心した。この調子ならこの状況を切り抜けられそう。そんなことを思いながらユアの方に行き背後から1匹仕留めるともう1匹はユアに倒された。ゴブリンは仲間が倒れたことに気を取られた瞬間ユアが短剣で喉を突き刺したのだ。


 これで出てきたゴブリンは、倒し終わったかな?


「お疲れ様」


「うん、お疲れ様……」


「大丈夫そうだったね?」


「なんとか、かな? でも、倒せたのは、ほとんどレーナちゃんのおかげ」


「? どういうこと?」


 そう聞くとユアが指で示した方をみるとゴブリンの腕がそこにあった。


「これが上から飛んできたけど、レーナちゃんだよね?」


「……そうかも」


 一瞬、私何かしたかな? と思ったけど、そう言えば棍棒を持って暴れていたゴブリンを蹴飛ばしたとき飛んでいったかも? と思い出した。うん、ユアに当たらなくてよかった。


「少しびっくりしたけど、それがたまたまゴブリンに当たって出来た隙をついて倒したから、レーナちゃんのおかげだよ」


 ゴブリンの隙を作ろうと意図的にしたことじゃないけど、たまたまゴブリンに当たったということに驚いた。


「でも、チャンスを活かしたのは、ユアだよ」


「そ、そうかな?」


 とユアは、少し照れくさそうにしていた。


「レーナちゃん倒したゴブリンどうするの?」


「そう言えば近くにゴブリンが居たはずなのにこっちに来てないわね」


 そう思い周囲を確認するが近くにゴブリンはいなかった。どうしてかは、分からないけど、近くにいないのなら魔石の回収をしてもいいかもしれない。


「近くにはいない……と思う」


「そうね。それなら解体してさっさと離れようか?」


「うん」


 そうしてユアと一緒にゴブリンの解体を行うことになった。


 それからユアと手分けしながら魔石を回収したのだが私が3匹の魔石を取り出している間にユアは、5匹分の魔石の取り出しが終わっていた。あれ? この前は、同じぐらいの早さだったような……。


「ユア、この前より解体するのが早くない?」


「そうかな?」


「そうだよ。前の時は、大体同じぐらいに作業が終わっていたから」


 そう言うとユアは、短剣を見た。


「……もしかしたらこの短剣がいいのかも?」


「? どういうこと?」


「私が使っていた短剣よりも切れ味がいいからそれで解体が少し早くなったのかも?」


「……私の短剣の方が切れ味いいの?」


 そう聞くとユアが強く頷いた。


「うん。さっきゴブリンの首を切ったとき、この短剣の方が楽に切ることができたの。それに初めて一撃でゴブリンが倒せたから……」


 そう言われるとさっき、ゴブリンを一撃で倒していたかも……。武器が良くなったからユアの戦闘能力が上がったという事だよね? 今の状況的には、凄くありがたい。


「私もそろそろ武器を新調した方がいいかな?」


「ちゃんと扱えているから新調しても問題ないと思うよ?」


「そうかな?」


「まぁ、帰ってから考えればいいよ。個人的には、今の武器ぐらいは、ユアに必要だと思うよ?」


「……分かった。そうする」


「じゃあそろそろ行こうか?」


「うん!」


 それから私達は、街に向かって歩き出した。




 それから街に向かって歩いているとユアがこんなことを聞いて来た。


「レーナちゃん」


「どうしたの?」


「街道の方向に歩いていないけどいいの?」


「あ~、それは、大丈夫だよ。あの道結構曲がっているからこっちの方が早く街に着くよ」


「確かに曲がっていたけど……。自分がどの辺を歩いているのかもう分からなくて……」


 どうやらどの辺りを歩いているのか分からないらしい。


「まぁ、とりあえず歩いて行けば分かるよ」


「確かに。でも、レーナちゃんは、どこを歩いているか分かっているでしょ?」


「ん? まぁ」


「それってすごいよね。この辺のこと大体分かるの?」


 う~ん……確かに通ったことある場所なら大体わかるかも? 今の所は、一度でも行ったことある場所は、行けると思う。何となくだけどゲームの中で未開拓エリアのマップ埋めしている感じで覚えているような……。そう思ってゲームのマップみたいなイメージをしたらそれっぽいものが頭の中に浮かんだ。もしかして記憶だけできちゃったのかな? と思ったけど、魔法を使っている感じはないと思う。記憶力がいいのかな? まぁ、役に立つことだし深く考える必要もないかな? と思った。


「多分? あ、そろそろ街道に出るよ」


 そう言って街道に出た瞬間どこからか音が聞こえた。


「?」


「本当に街道に出た……。どうしたの?」


 とユアは、街道に出てきたことに驚いて私の方を見たら、私の様子が違うことに気付いたみたいで聞いて来た。


「何か音がして?」


「音?」


 そう言ってユアは、耳を澄ましていたので私も同じようにするとやっぱり音が聞こえる。


「確かに聞こえるかも」


 とユアもそう言ったから気のせいでは、ないみたい。魔法を使って周囲を確認しても何かいるわけでもない。


「(もうちょっと広げてみるかな?)」


 そう思って探索魔法の範囲を広げていくと何かが引っ掛かった。何だろう? とそんなことを思ったら今度は、たくさんの魔物の反応があった。


「!? 魔物が近づいているみたい。それもたくさん」


「え?!」


 急に言われてユアは驚いていたがしばらくして街道の方から誰か走って来た。


「誰かがこっちに……。ほ、本当にたくさんの魔物が、レーナちゃんが言っていた通りだ」


 と私が言っていたことが本当のことだと理解してくれた。とりあえず、冒険者達はどうしようかな? と思ってよく見るとユアのパーティメンバーだった。


「え? あ、あれは……」


 するとユアも追われている冒険者が誰なのか気付いたようだった。


「とにかく逃げよう!」


「う、うん」


 そう言って山の中に向かって走り出す。その時にチラッと後ろを見ると彼等は私達の事に気付いたようだった。


 ユアのペースに合わせて走っていたが彼等は私達の後を追いかけて来た。もしかして私達のことを追いかけている? とそんなことを思いながら走っていたが彼等との差が徐々に縮まっていくので、進路をずらしながら進んで行くが彼等は私達を追いかけているようで追いついて来た。


 すると「ピュ!」と何かが飛んできた音がしたと思ったらユアが「キャッ!」と悲鳴を上げた。ユアの方を向くと彼女は、転がっていた。


「大丈夫!?」


 どうしてこんなタイミングで……と思ったが、すぐに何かされたのかもしれないと思い声を掛けたが返事は無かった。何があったの? と思いながらユアの元に駆け寄ると脇腹の下から血を流していた。


「ッ!!」


 すぐに周囲を見渡すと近くには、血の付いた短剣が転がっていた。そして、彼等が駆け抜けて行った方を見たらオノマが小さくガッツポーズしているのが見えた。やっぱり狙って投げたようだった。


 自分達が逃げるためにユアをゴブリンの囮にしたことを理解して腸が煮え返るような思いだったが彼等は、既にここにはいない。とりあえず後回しにしてユアの処置することにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ