27.野営
それから何度か休憩やゴブリンとの戦闘を重ねながら日が沈みそうな時間になった。
「日も大分傾いてきたわね」
「そうだな。そろそろ野営ができそうな場所を探した方がいい頃合いだ。すまんが野営できそうな場所を見つけたら教えてくれ」
ゲンツさんは御者をしているゼロスさんにそう言った。
「分かりました」
ゼロスさんがそう言ってしばらくした頃、野営に適していそうな開けた場所を発見し、今日はそこで野営をすることになった。ゲンツさんは合図を出して野営する地点で止まると馬車ごとのリーダーが集まってきた。
「今日はこの場所で野営を行う、それぞれのグループで野営の準備をするように、野営の準備ができたら俺のところに知らせに来てくれ。全員の準備が終わり次第夜の見張りについて話し合う。以上だ」
ゲンツさんがそう言うと各々リーダー達は馬車へと戻って行った。
「さて、俺達はどのようにしようか」
「? どのようにとは?」
野営をするなら馬車の中で雑魚寝なのでは?
「野営についてだ。テントを張るか馬車で寝るかだ」
「え? みんな馬車で寝るわけじゃないの?」
「……それでいいのか?」
「私はいいけど、ユアは?」
「わ、私もかまいません」
「そ、そうか……。とりあえず、寝る場所を決めるか」
そうしてゼロスさん達と話し合い、馬車の入口からユア、私、ゼロスさん、ゲンツさんという順番で寝ることになった。
因みに先程ゲンツさんが言った「テントを張るか馬車で寝るか」という話では念の為男女分かれていた方がいいのかと思って提案したらしい。別に、ゲンツさんとゼロスさんが何かするわけじゃないと思うから気にする必要はないのになぁと思った。そもそも私達まだ子供だし……。
そんなことがありながら寝る準備が整った。後はやることがないので他の馬車に乗っている人が終わるのを待っていた。




