26.休憩3
それからしばらくしてほとんどの冒険者が出発の準備ができた。
「あとはルノジスの所か……」
するとゲンツさんがそんなことを呟いた。どうやらルノジスのパーティだけ報告に来ていないらしい。まぁ、あんなことを言っていたから準備をしているか怪しいが……。
「ゼロス、一応確認してきてくれないか?」
「分かった」
そう言うとゼロスさんは馬車を出て行った。
それから1、2分ほどたった頃にゼロスさんが戻ってきた。
「どうだった?」
「まだ準備さえしていませんでした。一応、出発するということは伝えてみましたが勝手にしろって言われました」
「……はぁ。仕方ない。彼等を置いて出発をするか」
するとゲンツさんがそんなことを言った。
「え? 依頼を受けた人を置いていくのですか? 馬鹿な奴等ですが、それなりに戦えるはずですよね? 多分」
「……団体行動できん奴は知らん。ただ、依頼の評価は下げておく」
確かに団体行動ができない奴は要らないか……。まぁ、私も得意じゃないからある程度気を付けた方がいいかもしれないけど。
「まぁ、ゲンツさんはそう言っているが困るのはあいつらだ。ギルドからの依頼なのにこうも適当にやって本当に大丈夫だと思っているのか?」
とゼロスさんも呆れた様子だった。そう言えばゼロスさんが声を掛けたのに適当に返事をしたってことよね? 冒険者にも上下関係があったと思うけどそれも無視なのか。しかもランクも低いのに……。あ、でもランクが低い私が言うことではないか……。
「勝手に痛い目に遭えばいいですね?」
「そうだな。戦闘時に余計なことをしなければいいが……」
とゼロスさんが少し不安に呟いた。確かに彼等のせいで怪我人がでたら大変だなぁ。と思いながらゲンツさんが出発の合図を出して移動を再開した。




