23.馬車の中で2 (2021/11/07)
「そう言うことなら1つ聞いてもいいですか?」
「ああ」
「どうして私達はこの馬車になったのですか?」
「それは……」
と言ってゼロスさんはゲンツさんの方を見た。するとゲンツさんはゼロスさんが言いたいことが分かったような顔をしてから頷いた。
「レーナの嬢ちゃんがウルフのパーティと揉めていたからだ」
「ウルフ? 誰ですか?」
聞き覚えのないパーティ名を言われて首を傾げているとゼロスさんが、え? という顔をしながら答えてくれた。
「ルノジスだよ。ルノジス。昨日揉めていただろ?」
「へぇ~、あいつらそんなパーティ名なんだ」
「そうだ。まぁ、直接的にはレーナの嬢ちゃんしか絡まれなかったがそっちの嬢ちゃんも少しは関りがあるからな?」
「え? ユアに?」
そう言いながらユアの方を見たけどユアは首を傾げていた。
「……本当に関りがあるのでしょうか?」
「直接的には関りはないかもしれないが嬢ちゃんが前にいたパーティタイガーが世話になっていたパーティの片割れだ。まぁ、揉めていた人達がパーティを追い出されてできたのが今のパーティだが……」
まさか、ユアにそんな繋がりがあったとはと少し驚いたがユアは首を傾げていた?
「あの人達見たことないですが……」
「まぁ、あいつらが追い出されたのは、3、4年前だから嬢ちゃんは一緒に行動しているところを見たことないのかもしれない。……そう言えば、あいつらと揉めているところを何度か見たことあるんだが嬢ちゃんが一緒に居るときにはみたことないな」
「私はあの人達とはほぼ初対面ですよ? ギルド内では何度か見たことはありますが」
「そういうことならなるべく会わない方がいい。とは言っても、レーナの嬢ちゃんは目をつけられているからそれも難しいかもしれないが……」
「私がなるべく気を付けるわ。ユアも、彼等と揉めているときは少し離れてね? あいつらがまた剣を抜いたら今度はボコボコにするから」
「ほ、ほどほどにね」
するとユアはやや頬を引き攣らせながらそう言ってきた。
「まぁ、あいつらと揉めないようにするために俺がついている感じだ」
「もし、嬢ちゃん達があいつらに痛めつけられたら大変だからな。だから一緒の馬車になったわけだ。いくらあいつらが手加減をしていたとしても本気になったら危険だから気を付けてくれよ?」
そうゲンツさんに言われたけど、あいつらには負けないと思うけど……と思いながら頷いておいた。ただ、ゼロスさんは何か言いたそうにしていたが口を開くことはなかった。まぁ、ゼロスさんは私の実力をある程度把握しているからなぁ……。とそんなことを思いながら馬車に揺られていた。




