12.争い2
切りかかって来たルノジスの攻撃を受けるためにローブの中に手を入れて小太刀を取り出した。そしてローブから取り出したように見せながらルノジスの攻撃を受け止めた。
「っち!」
ルノジスは舌打ちをしながら一旦少し離れて今度は思いっきり振り下ろしてきた。私はそれを小太刀で受け流しながらルノジスに近づいた。ルノジスの剣が床にめり込んだときにはすぐそばにまで移動をしてルノジスの横っ腹に思いっ切り回し蹴りをした。
「ぐぉっ!」
「ぐぉっ!」
するとルノジスが数メートル程飛んで落下した。
「お前!」
「よくもルノジスを!」
そう言って2人が武器を持って私に切りかかって来た。全く面倒くさい。そう思いながらどう対処しようか……。と考えていたら入口の方がやや騒がしいことに気付いた。
「お前ら何をやっている」
入口の方から男の人の低い声が響いた。すると襲い掛かろうとしていた男たちの動きが止まった。そしてゆっくりと入口の方へと視線を向けた。
「「ぜ、ゼロスさん!」」
「え?」
男達が私の知っている人の名前を呼んだから驚いて入口の方をみるとそこには私が知っているゼロスさんが居た。
「お前等、また問題を起こしているのか?」
「い、いえ、そんなことは……」
と言いながら2人とも武器を急いで隠していた。今更武器を隠してももう遅いと思うけど……。
「お前達が隠した武器は何だ?」
「い、いえ、ぶ、武器の手入れでもしようかなぁ~と思って出しただけです」
「じゃあ、蹲っているそこの男は何だ? 床に剣が刺さっているが?」
ゼロスさんがそう言うと2人ヤバい! と言った顔をしていたがどう説明していいのかが分からなかったようで口をパクパクさせるだけで声を発することはなかった。
「はぁ~。嬢ちゃんは大丈夫か?」
「特に問題はないわ。降りかかってきた火の粉を適当に払っただけだし」
「まぁ、そうだよな……」
「それよりもおじさんはどうしてここに?」
そう言うとこの部屋の空気が凍り付いたかのように騒音が消えた。よく見ると冒険者の人達がやや怯えているようにも見える。そんな周囲の様子に首を傾げながらゼロスさんは頭に手をやって溜息をついていた。




