11.争い
男の人は右手で顔面を殴ろうとしてきたので私は右手で受け、右側へと流しながら受け止めた。
「なっ!」
すると男の人は私が受け止めたことに驚いていた。まぁ、思っていたよりも力がなかったから問題なく受け止めれたけど、無理そうだったら投げ飛ばそうかな? とも考えていたからわざわざ受け止める必要もなかったかもしれないが。
「……この手は何ですか?」
とやや低い声で男の人に問いかけると手を引っ込めようとしたので強く握り締めた。すると男の人は手を引っ込められないことに一瞬焦った様子を見せたがすぐに怒鳴ってきた。
「!? な、何をしやがった!」
「ただ掴んでいるだけですが?」
「ふざけるな!」
と言って反対側の手で殴ろうとしてきた。私は先ほどと同様のことを左手でしながら体を左へと捻り、右手を引き寄せた。すると男の人は体勢を崩したので椅子から立ち上がりながら右肘を男の人の脇辺りに持って行き相手の力を利用しながら投げ飛ばした。すると男の人と一緒に入ってきたおそらくパーティメンバーへと向かって飛んで行き二人とも地面に倒れた。
「ルノジス! スティアード! 大丈夫か!」
するともう一人の男が彼等に駆け寄りながらそう名前を呼んだ。
う~ん? どっかで聞いたことある名前だな? と思いながらもどこで会ったのかは思い出せない。まぁ、こんな奴らどうでもいっか。
「っち! このクソガキが! 俺達を怒らせたことを後悔しやがれ!」
するとルノジスと呼ばれた男は立ち上がると剣を抜いた。そこで、彼がどこで会ったのかを思い出した。
「あ、昇格試験の時にボコボコにした人だ」
「ふ、ふざけたことを抜かしてんじゃねぇ!」
とルノジスは少し動揺をしながらも切りかかってきた。




