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・・・自由に生きよう!  作者: 夜叉神
第二章 森の異変
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16.彼等のピンチ (2021/8/29)



「不味いわ!」


「くそ! なんでこんなにゴブリンが!」


 と喚きながらも武器を構えている。一応、武器を構える余裕はあるみたい。てっきりびびって、何もできないかと思っていたけど、長い事冒険者として活動しているだけのことはあるようだ。まぁ、実力はあまりなさそうだけど……。


 ゴブリンは、というと彼等にじりじりと近づいている。ブラッドは、周囲をチラチラとみているとふと山の斜面にいる私と目が合った。


「おまえ!」


 そう言いながら私に向かって指をさすとゴブリンがこちらを見る。


「なるほど、お前が俺たちを罠に嵌めたな!」


「何もしてないわよ」


 と面倒くさそうに言っていると後ろからゴブリンがやって来た。


「ほら、みろ! お前の後ろからやって来たじゃないか!」


「それは、あんた達が撒こうとしたゴブリンでしょ!」


 と言いながらゴブリンから離れる。


「お前が連れてきたゴブリンだ、お前が処理しろ!」


「なら、私の武器を返しなさい」


「はぁ? これは、俺が拾った武器だと何度も言っているだろ!」


 とそんな言っている間にも彼等を囲んでいたゴブリン達は、少しずつ近づいている。


「ちょっとブラッド」


「ん? っ!」


 私の方に意識を集中させている間に彼は、ゴブリンが近づいていることに気付かなかったらしい。それだけの事で周りが見えなくなるとかどんなに視野が狭いの? と思った。その後、驚きから立ち直ったブラッドは、ゴブリン達から視線を外さずにメンデスに話しかけていた。


「解けたか?」


「まだよ。今やっているわ」


 とメンデスは、メンデスはユアを縛ったロープが解こうとしていた。ただ、焦っているから却って絡まっているように見えるけど気のせいかな?


 そんなことを思っていると「ゴフッ」という音が響いた。何だろう? と思ってその方向を見ると先ほど戦っていたオノマがこの場所にいた。


「早く来い!」


「助かった!」


「オノマ!」


 そう言いながらオノマが空けた場所に向かって走って行くがゴブリンは、その空いた場所を埋めようと動いている。


「邪魔だ!」


 と言って私の槍でゴブリンを横に薙いだが刃の部分じゃないためゴブリンを仕留めることができずに膝を突いて痛がっている。


「チッ」


 と舌打ちをしながらも空いている場所を何とか通過したがメンデスは、ユアを引っ張っているためうまく抜けることができずにゴブリンが振るった棍棒が肩を直撃して「ゴン」と鈍い音を立てた。


「きゃっ」


 と言ってその場に崩れそうになるがオノマがメンデスの腕を引っ張りゴブリン包囲網から抜け出した。だがゴブリンに殴られた時にユアを掴んでいた手を放していたのでユアは、そこで倒れた。しかも手が縛られていて上手く起き上がれないようで、もぞもぞしている。


「ふんっ」


 そんなユアを見て鼻を鳴らしたかと思ったらあろうことかユアを置き去りにしてその場を去って行った。


 私は、そんな彼等の行動を見ながらゴブリンから逃げていたけど、最後の行動に驚いた。一応、手を引いて逃げようとしていたから少しは、仲間意識はあるのか。と思っていたけどオノマには、そんな意識は、全くないことを知った。他の2人は違うのかと聞かれるとユアの事は見向きもしないで逃げていたからオノマとそう変わらないのかもしれない。もしかしたら囮に使うために一応、引き連れていたのかもしれないが……。


 それにしてもオノマの実力でもユアぐらいなら連れ出せたのでは? と思う。力業みたいだけどゴブリンを剣で飛ばしていたし。まぁ、重傷ぐらいは、与えていたかな? それなのにユアを確認して助けようともしないで去って行くなんて! と凄く憤りを感じた。


 とにかくユアを助け出そうと近づくと1匹のゴブリンがユアを掴んでいた。


「放しなさい、よ!」


 と言いながらユアを掴んでいるゴブリンの腕に蹴りを入れると手がユアから離れたのでそのままユアを抱えて逃げる。「グギャー」というゴブリンの悲鳴が聞こえたが、数が多いのでこの場から離れようと急いだ。




 それから走り続けて何とかゴブリン達を撒けたかな? と思いユアを降ろして近くの木にもたれさせる。それからナイフを取り出して、ロープや布を切ってユアを解放する。


「大丈夫?」


「う、うん」


 とユアは、返事をしてきたが顔色が悪い。やっぱり先ほどゴブリンに襲われたことが影響しているのかも……とそんなことを思いながらユアに何か必要なものがないのか尋ねてみた


「何か欲しいものとかある? 水とか飲む?」


「だ、大丈夫。少し休めば落ち着くと思うから」


 ユアは、そう言うが強がりじゃないだろうか? と少し不安になる。


「本当に?」


「うん。だから少しだけ休ませて欲しいの」


「そのつもりでユアをここに降ろしているから大丈夫だよ」


「そうなの?」


 するとユアは少しだけ安心したような表情をしていた。実際この場所は、木に囲まれていて周りが茂みになっているため茂みを掻き分けてこないとこれないような場所だからもし魔物が来ても分かりやすいだろうと思ってこの場所を選んだ。まぁ、最終的には、魔法で周囲を確認するからあまり関係ないのかもしれないけど……。


 とりあえずユアの体調がある程度回復するまでこの場所で休憩しよう。そう思って私は周囲の警戒をしていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] ユア、置き去りにされるようなパーティにいつまでもしがみついてる、ユア自身も異常者に思えるね。
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