217.ルミアの相談
宿へ戻っている最中にルミアが私に話掛けてきた。
「れ、レーナお姉ちゃん」
「ん? どうしたの?」
そう聞くとルミアは少しためらっていたが覚悟が決まったようで私の目を見ながらこんなことを言ってきた。
「……その、私、あそこで勉強をしてみたい」
私はルミアのそこ言葉を聞いて「やっぱり」と思った。今日初めて習ったことが多かったけど、皆の中で一番集中して話を聞いて取り組んでいたからもしかしてこういうことが好きなのかな? とそんなことを思っていたからだ。
「……ルミアお姉ちゃん勉強しに行っちゃうの?」
「い、行きたいだけだよ」
「もしかして、リリとララも行きたいの?」
「う~ん。難しいから私はいいの」
「私も」
「まぁ、難しいかもしれないけど、文字の読み書き、計算は大切なことだから追々覚えないといけないよ?」
「「え~」」
「まぁ、すぐにじゃないから少しずつね?」
「それくらいなら」
「私も」
と言いながら話の興味が無くなったようでユアの方へと向かった。ユアは私の方を確認してきたので頷くと彼女達と一緒に私達の前を歩き出した。
とりあえず、リリとララはユアに任せてルミアと話をしないと。そう思いながらルミアに質問した。
「それで、ルミアはどうしたいの?」
「え? え、えっと、できたら、あの場所にできる限り通いたいです。でも、ちゃんと生活ができるわけでもなく、たくさんのお金を稼ぐことができないから、ラナさんにお仕事を貰わないといけなくて……」
どうやらどうしたらいいのか分からないけど、勉強をしたいということなのだと思う。私だったらラナさんに相談しに行くけど、子供をそこそこいい賃金で雇ってくれるような場所はないと言ってもいいくらいだからそんなことを相談して雇ってもらえないと困ると思っているのかもしれない。まぁ、ラナさんなら相談すればどうにかしてくれそうな気がするけど……。
「両方ともできるようになったらいいな? って思っている感じかな?」
「……はい」
「まぁ、とりあえず、ラナさんに相談してみたら? お話くらいなら聞いてくれると思うよ? その後のことは要相談かもしれないけど」
「……こんなこと相談しても大丈夫でしょうか? 雇ってくれなくなったりしませんか?」
「大丈夫だと思うよ? 何ならルミアがラナさんに相談するとき近くに居てあげようか?」
「……いいの?」
「それくらいなら問題ないよ」
「……お願いします」
そう言ってルミアが頭を下げたので宿に着いたら一緒にラナさんの所に行ってあげようと思った。




