210.街を回ろう
「そう言えば街を回ると聞いたけど、どこを回るの?」
「それは……」
と言ってユアは視線をルミア達に向けた。
「どこでもいいの!」
「ぶらぶらするの!」
どうやら街を見たいと言っただけみたいで、どこを回るのかは何も決めていないみたい。
「まぁ、それなら適当に回ろっか? 私も街はあまり回ったことないから知らないところも多いと思うし」
「「やった~!」」
私がそう言うとリリとララが喜んでいた。そう言えばルミアは何も言っていなかったけど、彼女は回りたいところがあるのかな? と思ってルミアを確認すると、そわそわしている様子だった。もしかして、ルミアも楽しみにしているのかな? とそんなことを思いながらルミアにも見てみたいところがあるのか聞いてみることにした。
「ルミアは見てみたい場所とかあるの?」
「え? と、特には思いつかないです。ただ、いろいろなところを見て回りたいとは思います」
「それならいいけど、見てみたい場所があったら私かユアに言ってね?」
「は、はい」
それから私達は街の大通りを歩きながらいろいろなところを見て回った。
歩きながら店を回っていると大通りからやや外れて次第に店が少なくなってきた。
「こっちの方だとお店が大分少なくなってきたわね。そろそろ大通りに引き返そうか?」
「そうだね」
そう言って引き返そうとしたときルミアがこんなことを言ってきた。
「あそこの建物だけ、周りに建っている建物と違って結構大きいよ?」
ルミアがそう言いながら指をさしていた建物を見てみると確かに周囲にある建物よりも大分大きい建物が建っていた。
「確かにここの建物だけ大きいわね。でも、お店には見えないから誰かの住居かな?」
とそんなことを話していると少し離れたところから私を呼ぶ声がした。
「レーナちゃん?」
誰だろう? と思い振り返るとそこには荷物を持ったフローラが居た。




