198.依頼の報告
部屋の中に入ってエミリアさんに座るように言われて近くにあった椅子に座ると、他の職員の人が飲み物を持って入ってきた。そして、飲み物をそれぞれに置くとすぐに部屋を出て行った。
「とりあえず、依頼は無事に終わったみたいね?」
「そうですね。エレナさんに関することはほとんど問題なかったと思います」
「? 村の方で何かあったの?」
「そうですね……」
と言ってどんなことがあったのかを大体説明した。まぁ、個人名とかは教えなかったけど、村で起きた問題、そこからユアがその村出身だったことが分かったと伝えるとエミリアさんは驚いていた。
「ユアちゃんが孤児だということは知っていたけど、そんなことがあってこの街に来たのね……」
「私も驚きました。両親が亡くなっていることは本人から聞いていましたがかなり酷い扱いだったので……」
「そうよね……」
「ところで話が少し戻りますがアルディンのことについては何か知っていますか?」
「それなら、脱走したという話を聞いたわ。でも、最近また捕まったとか。ただ、誰が捕まえたかまではまだ把握していないけど、脱走した経緯は把握しているわ」
「脱走した経緯は知り合いから聞きました。ただ、アルディンを捕まえたの私です」
「え? レーナちゃんが? いったいどこで?」
「村にアルディンが現れたからです」
「!? どうして彼がそんなところに?」
「彼も、そこの村出身らしいですよ? エレナさんにそのことを伝えたら驚いていましたが……」
「それって同じ村なのに彼のことを知らなかったと?」
「おそらく……」
「因みに聞くけど、エレナとアルディンは顔を合わせていないわよね?」
「はい。一応、気を付けて対応しましたから」
「それは良かった」
と言ってエミリアさんは少しホッとしていた。まぁ、今回の依頼はエミリアさんがエレナさんに提案して里帰りをしたわけだからエレナさんが休まらなかったから困っちゃうよね。とそんなことを思いながらエミリアさんといろいろお話をした。




