186.ユアの家について
それから村長さんとお話をして何か気になることがあったら聞いてくれと言われた。
「昨日のことを相談してみたら?」
そう言うとユアは頷いて村長さんに話し始めた。
「え、ええと、昨日のお話で、私が小さい頃暮らしていた家を私に渡してくれると言ったお話をしていたと思います」
「ああ、そうだな」
「でも、私は街でお仕事をしているのでここで暮らすことはできないと思います」
「それについては心配しなくてもいい。ただ、あの家はユアの持ち物になるだけの話だから使い方はユアの自由だ」
「いいのですか?」
「いいも何もユアの自由だ」
「でも、あの家で生活することは当分ないと思いますが……」
「何ならあの家を定期的に掃除するくらいなら問題はない。ユアの好きなように生活をしてくれ。君をあの家に縛るようなことはしないからな」
「分かりました。ありがとうございます」
「気にしなくてもいい。君の両親には借りがあるからこれくらい大したことはない」
「そうなのですか?」
「ああ、いろいろとお世話になっていたからな」
「そうですか……」
その話を聞いてユアの両親達は村長さんに一体何をしたのだろう? と気になったが私が聞くようなことではないと思い口を噤んだ。まぁ、何かあれば追々知る機会でもあるかな? とそんなことを思いながら村長さんとユアがあの家を使わない間はどう維持するのかということは話していた。
話し合いの結果、ユアの家は村長さんが週に1度は綺麗に掃除をするという約束になった。村長さんが掃除をするわけじゃないけど、定期的に確認しに行くと言った。まぁ、わりとトントン拍子に進んだから10分も話していないけど。




