181.ユアが暮らしていた家へ
それからユアが昔暮らしていた家に着いた。
「……懐かしい」
ユアはそう言って玄関の扉に手を掛けると扉が開いた。
「……開きっぱなしなの?」
「さぁ? 私に聞かれても……」
そう言えばユリーカさんの家は鍵がかかっていなかったかも? あ、でも、鍵自体はついていたような……。私が出て行っているときは開けっ放しにでもなっているのかな?
「まぁ、とりあえず、中に入ってみよ? もしかしたら、村長さんが開けてくれた可能性もあるわけだし」
「そ、そうだね」
ユアはそう言って中に入った。そうして家の中に入ったけど、家の中には何もなく空っぽだった。
「何もないわね」
「う、うん。保管庫も一応覗いてみようかな?」
そう言ってユアについて行くとおもむろに床を触り出した。何をしているのかな? とみていると、『コト』という音がして床に窪みができた。そして、床を持ち上げるようにすると床が開いて階段が出てきた。
「この階段を下ったところに昔は小麦を貯蔵していたの」
「へぇ~」
とそんなことを思っているとユアが下りだしたので私も続く。ただ、視界が悪いので魔法の明かりで周囲を照らした。すると大きな空間が現れた。大きさ的には20メール以上ありそうな広い部屋だった。ただ、何も置かれていないようでただ広い空間になっていたが。
「やっぱり何もないんだね……」
とユアは少し寂しそうな様子を見せていた。
「そうだね。何もなくて寂しいね」
「うん。でも、中身以外はさほど変わった様子はなかったの。それは少しホッとしたの。あのおばさん達が管理していたと聞いたから家すらも変わっている可能性もあったから」
「そうだね。ユアが知っている状態であってよかったよ」
「うん。でも置いてあったいろいろなものは無くなっているみたいだけどね……」
「それは、残念だとしか言えないわね。もしかしたらおばさん達の家に残っている可能性もあるけど、売り払われた可能性が高いかもしれないわね」
「そうだね」
と言ってしばらくして私達は上へと戻った。
それからはすることがなく、早々に村長さんの家に戻ることになった。まぁ、ものとかがないから本当に家の確認だけだったから……。でも、ユアは懐かしそうにしながら家を見ていたようだったので確認ができてよかったのかもしれないとそんなことを思った。




