179.まずは確認
「……それでは本題に入りたいと思う。まずは君がユアちゃんだということは、エルクとアンナに似ているからすぐに分かった。とりあえず、私はあなたに謝罪をしたいと思います。両親が亡くなったのに村長として何もしてあげられなくてすいません」
そう言って村長さんはユアに頭を下げた。
「い、いえ、気にしないでください。最近では孤児院で楽しく過ごせています」
「そうか、最近は楽しいと……」
そう言うと村長さんは何故だが遠い目をしていた。まぁ、ユアが言った内容から考えるとそれ以前は楽しくはない日々だったとも取れる。でも、最近は楽しく過ごせて居るのならよかった……。とそんなことを思った。
「でも、ユアさんのことについて気になることがあります」
「え、ええっと、何でしょう?」
「私の記憶が正しければですがユアにあたる人物は11歳前後になるはずですが……」
そう言われてユアは、苦笑いをしながら答えた。まぁ、先ほどユリーカさんにも言われていたしねぇ?
「私は11歳です」
「本当に?」
「はい」
「……いろいろと苦労をしたみたいですね」
「まぁ、そんな感じです。でも、今は楽しく過ごしています」
「それならよかった」
と村長さんは少しホッとした様子を見せた。まぁ、いろいろと気付くのは遅かったみたいだけど、ユアのことを心配して街で探していた。と言っていたから今は元気に暮らしていると聞いて安心したのかもしれない。とそんなことを思いながら、早くビアンカ達の案件を片付けた方がいいかな? と思い、村長さんにその話を振ってみることにした。
「村長さん、その話はそれくらいにして、さっさとあの要件を片付けちゃおうよ。ユアを呼んだ一番の理由でもあるわけだし」
「……そうだな。先に要件を済ませておこう」
そう言って村長さんに持ってきた飲み物に口をつけたので私達も同様に出てきた飲み物を飲んだ。




