176.村に到着
街を出た後は昨日通ってきた道をひたすら戻っていた。途中で辺りが明るくなった頃に一度休憩をはさんで適当にご飯を食べてひたすら雪道を歩きながら何度か休憩して、お昼頃に何とか村へと到着した。
「何とかお昼頃に着いたわね。ユア、大丈夫?」
「うん。レーナちゃんが歩きやすくしてくれたから雪道でもそこまで疲れてないよ」
「それならいいけど。とりあえず、エレナさんがいる家に行こうか?」
そう言って私はエレナさんがいる家へ向けて歩き出した。
それからしばらくしてエレナさんの家に着き中に入るとエレナさんが私達を迎えてくれた。
「思っていたよりも早く戻ってきたね?」
「そうですね」
「それに、ユアちゃん、久しぶりね?」
「はい。お久しぶりです」
「まぁ、とりあえず、疲れただろうから中に上がって? ちょうどお昼ご飯ができているからみんなで温かいものを食べましょう」
そう言ってエレナさんに引き連れられて食卓に向かうとユリーカさんがご飯の準備をしていた。
「レーナちゃん戻ってきたのね。それから隣にいる女の子がアンナとエルクの子供かい?」
「は、はい。ユアといいます」
そう言ってユアを見るとユリーカは首を傾げていた。
「うん? 記憶が正しければ11歳か12歳くらいだったはずだと思うけど……」
「そ、そうです。今年で11歳になります」
「そ、そうなの?」
とそんなやり取りをしていてユリーカさんが何を言いたいのか私には分かった。
「ユアがいた孤児院がいろいろと大変だったみたいで、あまりご飯とか食べれなかったらしいです。だから年齢の割に成長していないようです」
「ちょ、ちょっと!」
「まぁ、でも可愛いですよね?」
と言ってユアの頭を撫でた。するとユアは不満そうに頬を膨らませていたが口元は嬉しそうにしていた。
「いろいろと大変だったのね」
「その、いろいろと……」
「ここまで来るのも大変だったと思うけど、まずは温かいご飯でも食べて温まりましょう」
そう言ってユリーカさんは私達の分のご飯を用意してくれた。




