164.リンフレッドの街へ到着
それからしばらく歩いているとアルディンがこんなことを聞いてきた。
「どこへ向かっている」
「リンフレッドの街よ」
「それならなぜ村の入り口と違う方に進んでいる」
「近いからよ」
「こっちの方に道はないはずだが……」
とアルディンは困惑した表情をしていた。一応、この村の出身だからいろいろと知っているからこんなことを聞いて来ているのかもしれない。それにしても、思いのほか話をするんだなぁ。と思った。てっきり街に着くまで無言だと思っていたから。そんなことを思いながら質問に答えることにした。
「そりゃあ道はないでしょ? 村から最短距離で突っ切る予定だから」
「え?」
「とりあえず、私の歩く速さについてきなさい。夜までには着く予定だから」
そう言ってアルディンの足の拘束を外し、上半身の拘束しているローブを引っ張りながら道なき道を進み始めた。
それからいくつかの山を越えたり下ったりしていると日が落ちそうな時間になったころにリンフレッドの街に到着した。
「う、嘘だろ? こんなに早く着くなんて……」
ただ、拘束されているアルディンは早くついて唖然としていた。まぁ、私が言ったことを半信半疑で聞いていたから本当に夜になるまでに到着して驚いているんだろうけど……。
それにしても、文句を言わないで私のここまでずっと歩いてきたアルディンを少し不思議に思いながらも何事もなく到着してよかった。とそんなことを思った。
正直、どこかで逃げ出そうとその機会をずっと窺っているかと思ったけど、歩きながらたまにアルディンの様子を確認していたけど、そんな素振りは見せなかった。まぁ、たまたまという可能性もあるけど、道中大人しかったのが意外だったなぁ。とそんなことを思いながら門へ向かって歩いていた




