163.エレナさんに報告2
そんなことがありながらエレナさんの理解も得られたのでユリーカさんに声を掛けてから早速出発することになった。と入っても準備なんてすることはないけどと思っているとエレナさんが不安そうにこんなことを聞いてきた。
「レーナちゃん、本当にすぐに出て行くの?」
「そうですけど?」
「今から街を出ても早くて翌朝ぐらいにしか着かないと思うけど? 道中でアルディンと野営をするの?」
あ、なるほど、エレナさんは私が元来た道を戻っていくと思っているからそんなことを聞いてきたのだと理解した。
「私達が通ってきた道を通らない予定なので多分今日中に着くと思いますよ?」
「……一緒に来た道を戻らないってこと?」
「はい。いろいろと急いだほうがいいと思うのでこの村から街まで最短距離で目指したいと思っています」
「それって、山の中を突っ切て行くってこと?」
「はい」
「……アルディンを連れてそんなことができるの?」
「先ほど言った引き摺るというのはあながち間違っていないですよ? とはいってもあの男を直接引っ張るわけではなくて何かに載せて運ぶことを考えています。特に雪山は滑り降りることを念頭に置いて移動方法を考えています」
「本当に大丈夫なの?」
「特に問題ないともいます。最悪実力行使で無理やり歩かせますから」
「まぁ、レーナちゃんがアルディンより強いのは一応理解しているけど、無理はしないでね?」
とそんなことを言われながらエレナさんとの挨拶を済ませて村長さんの家に向かった。
村長さんの家に着くと男の人が入口に立っていてすぐにアルディンがいる場所へと案内してくれた。そして部屋に入ってしばらくすると村長さんがやってきた。
「もう来たのか」
「はい。これから出発しようと思います」
「そうか、雪山は危険が多い。くれぐれも気を付けてくれ」
「はい」
そうして、アルディンの拘束(足の部分)を緩めてゆっくりだが歩けるようにして村を出発した。




