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・・・自由に生きよう!  作者: 夜叉神
第二章 森の異変
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9.ユア足を洗う (2019/12/26)



 それからユアの手を引っ張って歩いている時にゴブリンの処理をしていないことに気付いてユアに少しだけ待ってもらいゴブリンを魔法で燃やしてからすぐに戻った。とりあえず川がある場所へ向かおうと思いユアの手を引っ張りながら川がある方へ歩いて行く。


「……それでユアは、武器以外の装備類は持っていないの?」


 そう聞くとユアは、ゆっくりと頷いた。


「どうして持っていないの? ユアの安全性を上げるためには、必要だと思うけど? それに靴じゃあさっきみたいに中がベトベトになって気持ち悪くないの?」

「防具は、その、駄目になるのが早くてお金が……。ブーツは、別になくてもそこまで困らないから……」


 防具は、お金がないということは、分かったけどブーツは、なくても困らないと言っても山の中とか歩くならあった方がいいよね? 


「確かに問題ないかもしれないけど足とか気持ち悪く感じないの?」


「? いつものことだから特に?」


 いつものことって、それってよくあること? 肌とか荒れてかゆそうだけどそんなことないのかな? それに生き物の血とか付着したままだと変な病気にならないのか心配だ。

人のことだけど気になる……。


「かゆくなったり、かぶれたりしない?」


「……たまにかゆくはなるかも?」


 と少し気まずそうにしていたけどかゆくなることには心当たりがあったみたい。いつものことと言っていてもそれで肌荒れしていないのなら驚きだよね? とそんなことを思っていると川が見えて来た。


「ちょうど川があるからちょっと足を洗って見せて?」


 そう言うとユアは頷いたので、早速川に向かった。




 川の傍まで行くとユアは靴を脱いでズボンを捲る。まぁ、先程もみたから分かっていたけど足首辺りまで赤黒い血で汚れている。ユアは、そのまま川に近づき恐る恐る足を水に触れる。


「冷たい!」


 ユアはそう言いながら川に入り足についた汚れを落としていた。




 それからしばらくして足の汚れを落とし終えたようで川から上がって来たので、私はユアにタオルを渡した。すると、ユアが何やら困ったような表情をしていた。もしかして何のために渡したのか分からないのかな?


「足を拭くのに使って?」


「え? いいの?」


 とユアは驚きながら聞いて来た。何故タオルを渡しているだけでそんなに驚いているのか分からなかったけど足を拭くために渡したので頷いた。


「あ、ありがとう」


 そう言って私からタオルを受け取るとユアは足を拭き始めた。




 足を拭き終わると、ユアはタオルを持ったまま首を傾げて困った顔をしていた。もしかして使用済みタオルをどうしたらいいのか分からなくて困っているのかな?


「使い終わったら返してくれればいいよ」


「え? でも、洗ってから返した方が……」


「気にしなくてもいいよ。とりあえずそこの大きな石の上に座って」


 そう言うとユアは、私にタオルを返して石の上に座った。


「ちょっと足をみるよ?」


 そう言うとユアはややぎこちない動きだったけど、頷いたので足の確認をしたけど、かぶれていたというより擦れすぎて所々血が出ている感じだった。靴下を履いていないから、もしかしたら皮とか剥けているかも。と思っていたけど、まさかここまで酷いとは……。そんな状態でゴブリンの血まみれになるとか細菌が入っていたら大変なことになるかもしれない……。


 それにしてもよくこんな状態で動いていたと思う……。もしかしてずっと我慢していたのかな?


「……これ、かゆいというか痛いでしょ?」


 そうユアに聞くと俯きながら頷いた。やっぱり、痛いのを我慢していたの……。とりあえず治療をしておいた方がいいかな? と思いポーションを使うことにした。


「少し痛いかもしれないけど我慢してね?」


 そう言って水筒とポーションを取り出し、ユアの足に水をかけて綺麗にしてからタオルで軽く拭ってからポーションを垂らして手で延ばした。するとユアから小さな悲鳴みたいな声が漏れた。


「っん!」


 やっぱり染みるのかな? と思いながら全体を丁寧に塗ってユアの足から手を放してユアをみると目をギュッと瞑っていた。そんなに痛かったのかな? そんなことを思いながらユアに終わったことを伝えた。


「とりあえず終わったよ」


 そういうとユアがゆっくり目を開けてから自分の足を確認した。


「痛みは、消えたかな?」


「うん、レーナは、何をしたの……!」


 と私が何をしたのか聞こうとしたら急にびっくりしたようで立ち上がろうとしたユアを私は肩に手を置いて止めた。


「立ったら駄目だよ? 少しずつ治っているから動いちゃ駄目」


「その、あ、ぽ、ポーションを使ったの?」


 するとユアが少し青い顔をしながらそんなことを聞いてきた。


「そうだけど?」


 私は何故、ユアが青い顔をしていたのか分からなくて首を傾げながらユアの質問に頷く。するとユアが声を震わせながら聞いてきた。


「い、いくらするの?」


 ユアがそう言ったことで何を心配していたのかを理解した。


「あ、お金のことを気にしていたの?」


 するとユアは頷いた。


「お金のことは気にしなくていいよ。私が勝手にやったことだから」


 そう言うとユアが安心した様子をみせた。ポーションを使ったからたくさんのお金を取られると思ったのかもしれないけどそこまで怯えなくてもいいのに……。とそんなことを思った。


「……でも、ポーションってそれなりの値段がするよ?」


 するとユアは私の懐を気にしているのか、それとも本当に払わなくても大丈夫なのか気になっているのかは、分からないけど先ほどのような青い顔はしていない。でも、心配の色が濃いようにみえる。


「大丈夫だよ。とりあえずユアは、そこで座っていてね? ユアの靴を洗って来るから」


「そ、そこまでしなくてもいいよ!」


「いいからちょっと待っていて」


 そう言うとユアは、何か言いたそうにしていたけど結局何も言わなかった。でも、先程とは違う雰囲気で私の方をみていた。気のせいじゃなかったら少し懐かしそうにしているようにもみえたけど恐らく気のせいだろう。とそんなことを思いながらユアの靴を洗い始めた。


 ユアの靴を持ってひっくり返すと血がポタポタと落ちる。その落ちる血をある程度切ったら川の中に入って丁寧に血を落とした。


 洗い終わると水を切り、タオルで余分な水を吸わせてユアが座っている石の所に立てかけた。


「一応、洗い終わったけど、その靴が乾いてから残りの依頼を終わらせて街に戻ろうか?」


「うん、……その、ありがとう」


「う、うん」


 ユアは、ちゃんとお礼を言ってくれるが私は、どう返事をしていいのか分からずユアにそっぽを向いたまま頷いておいた。


「それで足は、大分よくなった?」


「うん。痛みは、無くなったよ。レーナのおかげだよ?」


「そ、そう? とりあえずこの靴下はあげるから履いて」


 と言って靴下を一足あげた。まぁ、今回のことは、靴下を履いていなかったから足が靴に擦れてあの惨状になっていたと思うから靴下を履けば大体防げるかな? と思って靴下を一足あげた。街に戻ったらいろいろなものを一緒に買いに行こう。と密かにそんなことを考えていた。


 それからしばらくしてユアの方を見ると私が渡した靴下を持って私の様子を窺っていた。もしかして、本当に貰ってもいいのか確認しようとしているのかと思い。「ユアにあげるから気にしなくてもいいよ」というとユアはお礼を言って靴下を履き始めた。


 そう何度も確認しなくてもいいのに……。とそんなことを思いながら私はユアの様子を見守っていた。



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