212.孤児院へ
孤児院の中に入るとルミアが入り口辺りでうろうろしていた。
「ルミア、どうしたの?」
そうルミアに声を掛けるとパッと顔を上げて私の方をみると驚いていた。
「え? レーナさん、もう戻って来たの?」
「まぁ、そうだけど……」
もしかして、孤児院を出てから戻るのが早過ぎたかな? 早く戻った方がいいと思ったから早く戻って来ちゃったけど……。それにしても私の呼び方が堅苦しいのも少し気になる。
「……レーナさんは本当に怪我の手当てをしてきたの?」
「まぁ、簡単にだけどして来たよ?」
「本当に?」
ルミアは少し疑っているような表情でこちらを見て来たがちゃんと治療が終わっているから問題ない、……はず。
「う、うん。それとさっきから気になっていたけど、私のことさん付けで呼ばなくてもいいよ? 年が近いのにそんな呼ばれ方されるとちょっと変な感じがするから……」
「そ、それは、助けてくれた恩人だから……」
「そこまで気を遣う必要はないよ。ユアみたいにもっと気安く呼んで欲しい」
「わ、わかった。……レーナ、ちゃん」
ルミアは恥ずかしそうにしながらユアと同じように名前を呼んでくれた。
「うん。よろしくね? ルミア?」
「は、はい!」
私はルミアの返事を聞いてから、ユア達が待っている部屋へと案内をしてもらった。
それからルミアに連れられてその部屋に来たのだが孤児院が思いの外大きな建物で驚いていた。
孤児院ってお金が無くて困っていると聞いたけどこんなに大きな家、ちゃんと維持できるのかな? それに、院長先生はあそこで殺されちゃったわけだし……。とそんなことを思っていると、ルミアが部屋の扉を開けた。そしてルミアの後に続いて入ると彼女達は私のことに気付いた。
「レーナちゃん……」
「ちゃんと戻って来た……」
「「お帰りなさい?」」
するとユアとフローラが私が来たことで安心したような表情をしたと思ったらリリとララが何故か「お帰りなさい?」と言って来た。
「う、うん?」
私はどう返事を返していいのかわからず曖昧な返事をした。
それからユアに近づくと小声で孤児院に戻った後のことを聞いた。
「私が居ない間に何か話したの?」
そう聞くとユアがやや気まずそうに首を横に振った。まだ、話が出来ていないのか……。と思ったけど、リリとララはユアの近くに座って居るからそこまで悪い関係ではないのかな? そんなことを思っていると『ぐぅ~』という可愛らしいお腹の音が鳴った。誰のお腹が鳴ったのかな? と思ったらリリとララが少し赤い顔をしながらお腹に手をやっていた。
「……お腹空いたの?」
そう聞くと彼女達は頷いた。
「なら、とりあえずご飯にしようか?」
「え? いいの?」
「食べ物、あんまりないよ?」
「大丈夫、ちょっと台所がどこにあるか教えて?」
そうルミアに言うとルミアが困った様子でいた。
「う、うん。でも、食材が……」
「大丈夫だから」
そう言ってルミアに台所まで案内をしてもらい、道具や食材が置いてある場所などを教えてもらうとルミアには部屋で休んでいるように伝えた。すると少し渋っていたけど、ご飯ができたら手伝ってもらうからと言うと不安そうにしながら台所を後にしたのを確認してご飯を作り始めることにした。




