211.情報提供
「じゃあ、嬢ちゃん、俺はそろそろ行く」
そう言ってヘルガさんはお仕事に戻ろうとしたけど、まだシャフナーのことやゲガス盗賊団のことを話していないことを思い出して慌てて呼び止める。
「あ、ヘルガさん。まだ、話していないことが」
そう言うとヘルガさんの歩みが止まり私の方へと戻って来た。
「どんな話だ?」
「えっと……、私が戦った人の中にシャフナーという人がいたんですがその人がゲガス盗賊団? に所属しているということを別の人に聞いたのですが……」
「ゲガス盗賊団か……」
ヘルガさんは眉をしかめながらそう呟いていた。やっぱりゲガス盗賊団もレックス盗賊団と似たような感じなのかな……。そんなことを思いながらヘルガさんに聞いてみる。
「……その盗賊団についても何か知っていますか?」
「……この街を拠点としている盗賊団だ。さっき言った盗賊団より規模は小さいがゲガス盗賊団の方がこの街では知れている」
「それってその盗賊団はこの街を拠点にしているってことですか?」
「まぁ、そんな所だ」
なるほど、あんな奴がこの街で名の知れた盗賊団の一味だったのか……。地下ではあんなことをしていたからかなり危ない組織なのかもしれない……。
「やっぱりいろいろな被害がありますか?」
「あぁ……」
私がそう質問するとヘルガさんが曖昧な返事をしながら少し気まずそうにしていた。それからしばらくヘルガさんの様子を見ていたけどその先の言葉は紡がれることがなくやっぱり言えないようなことなのかな……。とそんなことを思った。それから、奴隷の首輪をヘルガさんに渡すとが驚いた顔をしていたけど死んだ人の中に奴隷の首輪をつけていた人がいたことを伝えた。するとヘルガさんはさらに険しい顔をしながら悩んでいる様子を見せていたがとりあえず、囚われている人達を助けに行くことにしたらしくヘルガさんと別れて私はユア達が待っている孤児院へ向かって歩き出した。
そうして孤児院に着いて中に入るとルミアが恐る恐る奥から出てきた。
「レーナさん……」
ルミアはそう言いながら安心した様子を見せた。もしかして、あの組織の追手が来たのかと勘違いしたのかな?
「大丈夫だよ?」
そう言いながらルミア撫でてあげるとやや俯きながら顔を赤くしていた。するとルミアが私が怪我した腕を見ると心配そうに私のことを見て来た。
「腕の怪我は大丈夫なの?」
「まぁ、まだ治療はしていないけど、後でするよ」
「で、でも、かなり深く切られていたよ!? 本当はもっと早く手当をした方が良かったのに……」
私はルミアの話を聞いてどうしてそこまで心配をしているのかが分かった。そういえばあの時、『危ない』と言って気付かせてくれたのはルミアだったことを思い出した。それならルミアは私が腕の怪我を治療していないことに気付いているわけだ……。と思った。
「……分かった。先に手当てをして来るから少し待っていて」
そう言って私は孤児院から出て近くに人がいないことを確認してから傷口を綺麗に洗い。魔法で綺麗に治して孤児院へと戻った。




