210.指輪の秘密とは
「ヘルガさんはこの指輪のことを知っているの?」
「そ、それは……」
ヘルガさんはそう言いながらその先のことを言い淀んでいた。その様子を見て何か知っているんだ。とそんなことを思いながらヘルガさんのことを見ていた。
それからしばらくの間悩んだまま困っている様子だったため、やっぱり教えてはくれないのかな……。とそんなことを思いながら再度聞いてみることにした。
「やっぱり、教えてもらえないの?」
「それは、その……、かなり危ない話だから……」
ヘルガさんはそう言った。それってそのことを知ることが危険みたいなものなのかな? でも、彼女達に何かしようとした組織だし、一応どんなことをしているかというのと組織の名前ぐらい聞きたいと思った。
「それでも、教えてもらえませんか?」
「……本当に聞くのか?」
「はい」
「下手したら自分の身に危険が迫るかもしれないぞ?」
「それでも、知りたいです」
そう言うとヘルガさんは困ったような顔をしながら何か決意したような表情をしながらゆっくりと近づいて来て小声で話し始めた。
「……この指輪のことだがとある組織に所属しているものが付けている指輪だ。おそらくだがその組織の構成員と思われるものだと思うがまだはっきりとしたことは分かっていない」
「因みに何て言う組織ですか?」
「……レックス盗賊団と呼ばれている。規模がどれくらいなのかまでは把握できていないがローランド王国最大の闇組織や盗賊集団と呼ばれている」
私はヘルガさんが近づいて小さな声で話を始めたからもしかして本当にヤバい組織なのかな……。とそんなことを思いながら話を聞いていたけどあまりにも大きな組織だと分かり驚いた。それなりに大きい組織だから言いにくいのかと思ったら予想以上に大きい組織みたい。でも、本当にそうなのだろうかと思い再度確認をした。
「……本当にそんなにも大きい組織なの?」
「あぁ、街中で話すと消されるかもしれないと言われるほどだからなぁ……。だから気安くその言葉を発するのは良くない」
「な、なるほど……」
道理で指輪を見て驚いていたわけだと思った。でも、そんなことだと知らずに知りたいという理由でヘルガさんに話をして貰って悪いことをした……。とそんなことも思っていた。
「まぁ、治安維持は俺たちの仕事だ嬢ちゃんは気にする必要はない」
そう言ってヘルガさんは私の頭を撫でてきた。私は急にのことで驚き固まっているとヘルガさんがそのことに気付いて慌てた様子で謝って来た。
「ごめん、嬢ちゃん、俺に撫でられるのは嫌だったか?」
「い、いや、そんなことは……。ないと思います」
私はヘルガさんにそう聞かれて慌ててそう答えたが、慣れないことをされた影響なのか顔が熱くなっていくことを感じた。どうしてこんなにも恥ずかしく感じるの? とそんなことを思ったけど、この世界での私はそんなことをしてくれるような人が近くにいなかったことを思い出した。
(この世界で私に優しく接してくれた人は母親が亡くなった以降はいなかったのか……。でも、この街に来てからは普通に過ごせているかも?)
とそんなことを思っていた。




