209.事情説明
「……そんなことがあったのか」
「はい」
「じゃあ、後ろの子達は……」
「私が助けた子達です。流石に知り合いくらいしか連れ出していませんが……」
「なるほど……」
ヘルガさんはそう言うと彼女達を見たが直ぐに視線を私に戻した。
「怪我をしている子や随分と疲れているみたいだな……」
「そう、ですね。私はちょっとヘルガさんと話しているから先に戻っていて?」
「いいの?」
私がユアに孤児院へ戻るように言うとユアがヘルガさんのことを見ながら戻ってもいいのかと聞いて来た。もしかして、ユア達にも事情聴取をするのかな? と思いヘルガさんに聞いてみた。
「いいですよね?」
「あぁ、構わないが何かあれば話を聞くかも知れないがそれでもいいか?」
ヘルガさんがそう言うとユアが頷いたのでユア達は先に孤児院へと戻ってもうことにした。フローラは、ローナさんに元に帰ってもよかったけど、私のことを待つと言ったのでユア達と一緒に居てもらうことになったり彼女達は孤児院へと歩いていた。
そんな彼女達を見送ってから私はヘルガさんへと向き直る。
「ありがとうございます」
「いや、嬢ちゃんが気にすることじゃないよ。でも、嬢ちゃんは大丈夫なのか?」
「大丈夫です」
「……そうなのか?」
「はい」
そう言うとヘルガさんは少し難しい顔をして考え込んでいたが改めて私の方に向き直った。
「……その怪我はあの子達を助けたときのものか?」
「まぁ、そんなところです。一応、その相手は縛って来たけど、どうなっているかは分からないわ」
「そ、そうなのか、その場所を教えてもらってもいいか?」
「はい、元からそのつもりなので、その代わり残っている子達や縛っている人や亡くなっている人のことをお願いします」
「分かった」
それから私はヘルガさんに彼女達を捕らえられていた場所等をいろいろとヘルガさんに教えていた。
「場所とかその組織の住処としてはそんな感じです」
「とても参考になった」
「そうですか、それならよかったです」
私はそう言いながらとりあえずこれで、あの時の子達は兵士の人達に助けられるだろうと思っていた。
「少し準備に時間が取られるがなるべく早く向かおう」
「お願いします。それと、これを見て欲しいのですが……」
私は、そう言って亡くなった男が指に付けていた指輪を取り出してヘルガさんに見せた。
「こ、これは……」
ヘルガさんはそう言いながら私が持っていた指輪を見つめていた。何かあったのだろうか? そんな不安に駆られながらもヘルガさんに指輪のことを聞くことにした。




