208.ヘルガさん?
そうして孤児院の近くまで戻って来るとそこには見覚えのある人が居た。あの人はもしかして……、そう思って声を掛けみた。
「ヘルガさん?」
「ん? レーナの嬢ちゃんか?」
そこには私が思っていた通りヘルガさんだった。ヘルガさんは私が声を掛けたことに気付いたみたいで私のことを確認してきた。
「そうです」
「どうしてこんな所に? それにその怪我はどうした? 何かあったのか?」
ヘルガさんは私がここに居るのを不思議そうにしながら私の腕を見てそんなことを言ってきた。
私はというとヘルガさんが言っていた怪我って何のことだろう? と思いながらヘルガさんの視線が向いていた腕を確認した。視線の場所を確認してみると腕当たりの服を切り裂かれていて真っ赤に染まっていた。
そう言えばシャフナーと戦ったときに腕をやられていたことを忘れていた……。
切られた直後は痛かったけど、いろいろあってそれどころじゃなかった。それに、今は痛くなかったから怪我のことは気付かなかった。
「まぁ、ちょっといろいろありまして……。それよりヘルガさんは、どうしてここに?」
「あぁ、それは、この辺りで何者かが争っていたと言われて来たところだ。この辺りに誰かが争った跡や血痕が残っているから何かあったと思うが、調べてみないとなぁ」
それってユアの戦闘後では……。そう思いながらユアの方を見ながら戦闘の痕の方に視線を向けると私が何を言いたのか理解したようでユアが頷いた。やっぱりユアの戦闘の痕だよね……。とそんなことを思いながらヘルガさんにこれまでのことを話すことにした。
「ヘルガさんにお願いしたいことがあるんだけどいいですか?」
「ん? 別に構わないが今すぐは難しいぞ?」
「それは、多分大丈夫だと思います」
「? まぁ、いいか、どんなことだ?」
ヘルガさんは私が言ったことに対して少し不思議そうにしていたけど、とりあえず話を聞いてくれるみたいなので、先ほどまでの出来事をヘルガさんに話をした。
最初は孤児院に向かっている途中で戦闘の痕跡らしきものを発見して近くに彼女が持っていた武器が落ちていたから連れ去られたと思ったこと、痕跡などを追って住処を突き止めこと、乗り込んで彼女達を救出したこと、他にも捕まっている子がいることなどを……。




