204.リリとララ
それから長い牢屋の道を歩いているとある牢屋に人が入っていることに気付いた。
「この部屋には人がいるわね……」
そう言いながら中を覗いてみると小さな女の子2人が抱き合うようにして地面に倒れていた。ここからだと生きているのかまでは分からない。一応、生きているのかは確認した方がいいかな? とそんなことを思っているとルミアが慌てた声が聞こえた。
「!? ララとリリ!」
その悲鳴を聞いてユアとルミアを見ると2人とも少し青い顔をしていた。そしてルミアはゆっくりとその部屋へと近づいていき鉄格子の中をしっかりと確認する。
「ララとリリだ……」
そういうルミアの呟きが聞こえるとユアが牢屋の中に入ろうと扉を触ったりして調べていたけど鍵がかかっているようでどうやら開かないようだ。
近くに鍵らしきものは置いていないかな? と思って探してみたが見当たらない。こんなことならシャフナーにでも聞けばよかった……。そんなことを思いながらどうしようかと考えていたが鉄格子がそこまで分厚いものじゃないから刀で切れるのでは? と思った。まぁ、フローラを背負っているからなるべく気を付けてやらないと……。そんなことを思いながら彼女達に声を掛けた。
「ユアとルミア、少し下がって」
そう言うと2人とも私の方を見ると私がやろうとしたことを感じ取ったのか2人とも大人しく私の後へと下がった。私は2人が少し離れたのを確認すると鍵がかかっている部分に向かって刀を抜いた。すると鍵の部分が切り落とされてゆっくりと扉が開いた。
「「ララ! リリ!」」
ユアとルミアは扉が開いたことが分かると急いで中に入り2人の元へと駆け寄った。そしてユアとルミアはそれぞれ一人ずつ女の子を抱いた。すると2人とも安堵したような表情を浮かべた。どうやら2人とも無事だったみたい。
「2人とも無事だったのね」
「うん……」
私がそう聞くとユアはそう返事をした。ルミアはというと少し泣きそうになりながら私の方を見て頷いていた。すると倒れていた女の子が目を覚ました。
「「ん、ん?」」
「目が覚めたの!?」
「よかった……」
ユアとルミアは女の子が目を覚ましたことに少し驚きながら嬉しそうにしていた。一方、目が覚めた女の子はというとまだ眠たいのか目を擦りながら自分が抱きかかえている女の子を見つめていた。
「……ユアお姉ちゃん?」
「……ルミアお姉ちゃん?」
目覚めた2人の女の子は自分を抱いている人が知っている人物に気付いてやや首を傾げながらそう聞くとユアとルミアは女の子に頷いた。すると女の子達は安心したのが彼女達の胸に顔を埋めるように「怖かったよ~!」とか「お姉ちゃんにまた会えてよかった……」と言いながら抱きついていた。そんな様子の女の子にユアとルミアは嬉しそうにしながらしょうがない子とか思っていそうな表情で彼女達を慰めていた。




