203.脱出
それからこの部屋を出ようと思い意識を失っているフローラを背負ってユアの様子を伺ったが上手く歩けないようで凄くフラフラしていた。やっぱり血が足りないのかな? そんなことを思いながらルミアの方を確認すると普通に歩いていた。あんな怪我をしていたけど、普通に歩いているからとりあえず大丈夫なのかな? そんなことを思いながらユアに声を掛ける。
「ユア、少し肩を貸そうか?」
「だ、大丈夫」
「無理は良くないよ。かなりフラフラしているよ?」
「でも、ちゃんと動けるのはレーナちゃんしかいないのにこれ以上は……」
ユアは不安そうにしながらそんなことを言って来た。もしかして戦える人が私しかいないからなのかなそう言っているのかな? もし戦闘をすることになったらフローラを丁寧に下ろしてから戦えるといいな……。
「そ、それなら、私がユアお姉ちゃんに肩を貸す」
するとルミアはそんなことを言ってきた。ルミアがいいと言うのならそれはいいけど、至る所を怪我しているからユアを支えると体が痛いのでは? そう思い心配しているとルミアが私の思っていることに気が付いたのか「大丈夫です」とそう言ってきた。
「で、でも……」
「ユアお姉ちゃんが心配することじゃないよ。どう見たってユアお姉ちゃんの方が怪我の具合が悪そうだから……」
ルミアがそう言うとユアは俯いていた。そう言えば彼女達はまだ仲直りができていなかったけ? それなら、これを機会に何か会話の糸口でもなればいいかな? と思い後押しすることにした。
「それなら、ルミアにユアのことを任せてもいいかな?」
「!? うん!」
私がルミアにそう言うと少し驚いた反応をしたけど、私の意図が分かったのか言い返事を返してきたのでユアはルミアに任せることにしてこの部屋を後にした。
そしてその部屋を出て入って来た入り口の方に戻ると先ほど会った3人が私達に気付いたようで視線を向けて来た。すると先ほどの子が私に話しかけて来た。
「お、奥では何があったの?」
「とりあえず、問題は解決してきたかな?」
「そ、それなら私は外に出られるの!」
すると中にいた女の子がそう話しかけて来た。確かに出れなくもないけど、そこまでの人数の子を私はみることができない。もしかしたら他にも誰かいるかもしれないから兵士の人を連れて来た方が安全かも?
「兵士の人を呼んで来るからもう少し待っていてくれないかな?」
「早く出たいよ!」
「できるだけ早く戻って来るから待っていて? 今の私達じゃあ、何かあった場合、あなた達まで守ることができないから……。だからもう少しだけ待っていて? お願い」
そう言うと牢屋の中にいた男の子が女の子に何か話しかけると大人しくなり、私の方をみて頷いて来た。多分了承してくれたのかな? そんなことを思いながら男の子に声を掛けてからその部屋を後にして歩き出した。




